人呼んでフーテンのコヤと発します。
1年前の2014年9月7日から14日まで「奄美大島・加計呂麻島 女もつらいわ」と題しまして、小説家の三谷晶子姐さんをたずねてまいりました。今日紹介するラーメン屋は、もう閉店してしまったんだけど、紹介させてください。
複雑なリアス式海岸を忠実に、地図には描かれない激しいアップダウンを体感しつつ、真っ暗ながら海道を山道の両方の恩賜をしっかり感じることが出来るのだ。わたしたちが訪れた9月。それは夏の終わり。日が暮れると海から山に帰っていく奴らが道を横断する。それは、カニ。
小指の先程度の小さなやつから、げんこつサイズまでさまざまなカニが道を渡る。
それは一日の冒険を終えて家路を急ぐわたしたちのよう。
出来れば、無事に返してやりたい。
一匹見つけてはアクセルを弱め、通り抜けるときは慎重にタイヤの中央を抜けるようハンドルをきり、いっぴき、にひき、さんひきよんひきろっぴきじゅっぴきさんじゅっぴき……いすぎだろ!!!
こっちだって慣れない離島での該当のない夜間走行。
まったくもって余裕はない。
全員渡るまで車を止めて待つなんて、お腹の虫が黙ってはいないのだ。
グーグーと抗議を続けている。
そんなわけで始まったゲーム、その名も「カニカニパニック」!
なるべくよけるけど、踏んだらごめんなゆるいゲームで、空腹とのタイムアタックだ。
カニは小さいので踏んでしまうとカルシウムいっぱいな「カショッ!」というおいしい音がする。
「あわわわ……多い多い!」
カショッ!
「あわわ」
カショ! カショカショ!
ご、ごめん。
せめておいしく食べたことにした。
そんなわけで行き着いた先は、「いつか行きます」と約束したあのお店へ。
昼間の様子も載せておこう。
善意の無人販売カジュアル洋品店「カケロマの壺」の隣にあったラーメン店だ。
実はこのお店、現在はすでに閉店しており、もう味わえない。
遅くまで営業している数少ない飲食店で、目の前でパッパと手早く仕上げてくれる料理がわくわくさせてくれた。
サッサッ!
お、麺がゆであがったようだ。
わたしがオーダーしたのはシンプルな塩ラーメン。
ツルツルめんにシンプルだけどコクのあるスープがぴったり。
飲んだあとに食べたら、さぞおいしかっただろう。
いまでは幻のラーメンになってしまったけれど、自慢させてください。