このレポートの表紙はこちらから。アートって難しいんでしょ、だったら積極的に「面白がって」あげてもいいんだから、
とおなじみのツンデレをこじらせたようなナゾの上から目線から一転。
旧水産会館2Fの展示を見て漠然と「ヤバイ」と胸を奮わせた私。
いよいよ「お楽しみ」の「大かまぼこ」突入です。
「なん……だ、ここ、スゲぇ」
大かまぼこの入館ゲートをくぐって、
『ヤバイ』以上の感情表現を見出せなかった私に浮かんだ感情はこんな感じだった。
この大きな展示は
大友良英×飴屋法水たちさんの作品「Smile」 04
漁業の営みの気配や傷跡を表現したインスタレーション。
(インスタレーションとは主に空間を体験させるアートの事)
凄い。
そして、怖い。
人の力ではない、何かの力が働いたような、
「爪痕」という言葉がぴったり。
このころ、時刻は丁度正午。
天井にポッカリと開いた穴から、強い日光が差し込み骨組みだけが残った廃墟を照らした。
力は、何も破壊だけに働くわけじゃない。
そんな気持ちが胸にわいた。
「創造」の先に見えたものも、これまた大きなインスタレーション。
天井からぶら下がるのは……綱?
原口典之さんの作品「新潟.景12」 05
鏡よりもしっとりと、風景を映し出す重油の池。
天井から吊るされた、廃線のレールや枕木。
そして……。
正午の太陽の熱は天井を貫く。
近くに腰を降ろして私は待つことにした。
作品の中で、30分に1度降る、海水の雨を。
「降って来た……!」
作品の中には、用意された傘と長靴を借りて入ることができる。
もちろん、いそいと緑色の長靴に履き替えて、作品に乗り込んだ。
想像以上の大雨だ!
傘を執拗に打ち付ける雨音に興奮しながら、廃墟の中をきゃあきゃあと歩き回る。(ひとり)
今日の新潟は天気がいい。
けれど、私の知っている新潟は、いつも曇り空だ。
雨が降らなければ、全部晴れ。
本気でそう思っているくらい、思い出の中のふるさとは、お天気が下り坂。
かんかん照りの外を横目に、海水の大雨が気持ちよかった。