2016年7月上旬、ニュージーランド航空さんに航空券をいただいて、ニュージーランドを10日間旅してきたコヤナギユウの目的は……そう、オーロラハント!
オーロラは太陽風のエネルギーが地球の磁石に反応して光る自然現象なんだけど、カナダやアラスカなど北半球で出てるとき、実は南半球でも同じものが出てるらしいんだ。
だって地球は大きな棒磁石でしょ?
南半球で見えるオーロラは、北半球のオーロラを「ノースライツ」と呼ぶのに対し「サザンライツ」と呼ばれるんだって。
しかしこのサザンライツ、遭遇率が非常に低い。
南半球には大陸が少なく、ニュージーランドは島の形から天候が崩れやすい。
1日目の夜も雨雲を見上げながら、オーロラハントならぬ晴れ間ハントしながら星空撮影に挑んだでしょ。
理論上、2週間に1度は出現してるといわれているオーロラ。
でも、晴れてなくちゃ空は見えないでしょ。
それに、日が暮れてしまわないとね。
というわけで、日中にダニーデン観光を楽しんで、夜はオーロラハントに出発だ!
冒険心くすぐられるトンネル・ビーチ
ダニーデンのさまざまな地形と一緒に星空の写真を撮っているランドスケープフォトグラファーの中村太一さんに、このあたりにある魅力的なエリアを教えてもらう。
海の色が印象的だったわたしは、ちょっと変わった地形の「トンネルビーチ」に案内してもらったよ。
到着したのは夕暮れ時。
トンネルビーチは駐車場から15分くらい歩いて下った岬のしたにあるんだけど……なんぞこの美しさ。
南極とか北極とか、極が近いと太陽の色が優しくなる気がする。
カメラは2台持っていて、小さい方のカメラで夕暮れに色づく景色を収めずにはいられない。
早くしたに降りたいけど、美しすぎて……。
小さい方のカメラにソフトフォーカスフィルターを付けていたせいもあるけれど、なんて幻想的なんだ。
つい「ロクシタンかよ」とつっこまずにはいられない。
降りなきゃ、降りなきゃ。
日が沈む前にカメラをセットしなきゃ。
でも……美しすぎるでしょ!
やっと大きな方のカメラをセッティング。
Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA
暗くてよく分からないけど。
日が落ちてきて、色が濃くなり、迫力が増す。
美しいなぁ。
トンネルビーチは地元でも有名な観光&デートスポットで、波にえぐられた岩盤が特徴。
ふもとにある階段から文字通りトンネルをくぐり、プライベートビーチのような断崖に囲まれた砂浜に降り立つことが出来るのだ。
天体撮影のいいところは、カメラの設定を合わせて構えたら連続撮影設定をして放ったらかしに出来るところだ。
旅先で写真にはまると、ファインダーやモニター越しにばかり見ていてちょっと損した気分になるけれど、エサを仕込んで糸を垂らせばやることは終わり。釣りみたいだなって思ってる。(やったことないけど)
だからわたしもヘッドライトひとつで、トンネルビーチのトンネル階段を降りてビーチに降り立ち、引き潮の時に見える大きな洞窟に探検に行った。
動画も撮ったけど、暗くて分からなかったから、載せるのはやめておく。
そして気になる天体は……残念ながら雲が濃くなってしまった。
オーロラが出なくても、せめてダニーデンで美しい星空を撮りたい
(夜空に配慮したダニーデンの街灯)
じっと南を覗きながら(サザンライツは南に出る)、いくつか場所を移動してみたけれど……うーん。
ダニーデンで過ごす最後の夜。
オーロラの写真は叶わなくても、せめてダニーデンで美しい夜空の写真を収めたい。
天気予報をチェックすると0時過ぎから雲が晴れていくようだった。
そこで、一度家に戻り、シャワーなどを浴びてから出直すことに。
湯冷めなんてするものか、なんのためにニュージーランドへ来たと思ってるのだ!
0時過ぎ、中村さんが車を出して下さった。
市街地から30分ほど走り、道路の舗装はなくなり、いかにも山道といった場所を入っていく。
途中、なにかの遺跡があり、光源がない中、長時間露光で撮影して確かめてみる。
雲も晴れている、バッチリ!
峠を越えて、車は湖畔に着いた。
「これ、湖じゃなくて入り江なんですよ。ポツンポツンと立った漁師小屋が絵になるんです」
おすすめのスポットで車を止めてもらう。
「今日は最後の夜なので、一番いいポジションを譲ってあげます」
真南に向いてる、漁師小屋ど真ん中。
これでいい画が撮れてなかったら申し訳ないっていうレベル。
カメラをセッティングして、連続撮影開始。
あとは自分が撮影の邪魔にならないよう、光を発しないように気をつけるだけだ。
時はなんといっても新月。
ぺったりとした闇に無数の星が穴を空けている。
Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA
ダニーデンで撮った、コヤナギ初の星空タイムラプス
夜明け前の朝の5時に目覚ましをかけて、車の中で仮眠をした。
夜の暗さに設定したカメラは、朝の明るさでは真っ白な写真しか撮れないからだ。
それに、中村さんは朝から普通に仕事がある。
(わたしも次の目的地に向けてまた6時間のドライブをする)
iPhoneが時をマリンバの音を立てて時を知らせた。
眠ったような、眠れていないような感覚の中、こわばった身体を起こす。
カメラに近づくとバッテリーは力尽きていた。
寒いと電池の消耗が早いのは、イエローナイフで学んでいた。
そうか、ここも寒いんだな。
東京に帰ってきてから、星空の写真を見るのが怖かった。
カメラを新調し、中村さんにあんなに良くしていただいて、全然撮れてなかったらどうしようと怖かった。
また、撮れてはいるけれど、取るに足らない、つまらないものだったらどうしようと思った。
備えて万全を尽くした分だけ怖かった。
これでダメなら、踏ん切りがつく?
いや、ショックすぎて立ち直れないと思う。
だから対面するのが怖くて、このレポートを書くにもえらい時間がかかってしまった。
この夜に撮った写真は、タイムラプスという微速度撮影動画に編集してみた。
RAWで撮って、現像して、動画にする。
コヤナギにとって初めての試みだ。
なんとか、形になった様な気がしてホッとした。
タイムラプスはたくさんの写真の集まりだって書いたけれど、つまり、動画のひとこまひとこまが1枚ずつ写真として撮れている。
残念ながらオーロラは写っていなかった。
地平線の赤っぽい光は動きがない。つまり、街明かりの証拠。
ただ、動画のひとこまでは一瞬すぎて分からなかったけれど、写真を見返したらたくさんの流れ星がアホほど写っていた。
あの空の下に立っていると、なんだか自分の血液まできれいになっていく気がする。
突然ですが、ここでプロのタイムラプスを見てみましょう
「なんだコヤナギ、ちゃんと撮れてるじゃん」
そんな風に思ってくれた方、ありがとう。
でもね、わたしの撮れた写真なんて、まだまだ「カメラが頑張った」程度のものなんだよね。
カナダでオーロラに対峙したわたしは、星空とそれを撮って残すことに興味がわいていろいろ調べてみたんだ。
自分に技術が備わっていない以前に、装備が甘いことは分かる。
じゃあ、今回のニュージーランドでいいわけを一つ潰そうって思って、カメラを買ったのだ。
はっきり言ってまぁまぁいいカメラ。
星を撮るならこれ以上の組み合わせないってくらい。
(NASAじゃないから、わたしが撮りたいものはっていう範疇でね)
だから変な話し、プロの方より装備だけはいい。
でもね、ホントにね、プロは違うんだよ。
「ダニーデンの美しい星空を撮りたい」なんて息巻いたわたしだけど、ダニーデンの空の美しさを本当に知ってるのはわたしじゃない。
中村さんだ。
そんな中村さんの、本気のタムラプスをここに転載させていただきます。
いますぐダニーデン行きたくなると思うから、覚悟してよ。
Chasing Auroras 2015 | Taichi Nakamura from Spit & Polish Media on Vimeo.
これですよ、これ。
精進します。
本当にステキな夜でした。
(自分で並べておいてなんだけど、本当に同じ場所で撮ったとは思えない。精進します……)
主に運転に慣れる、オーロラハント
世界最南端のプラネタリウム、重厚な駅を見て、ギネスブックに載った坂見る、オーロラハント
スーパーでラム肉を買って、誰もないDOCで野営、オーロラハント
真っ青な湖や荒涼の山々をすり抜けて、2日分の食料を買い込み国立自然保護区域へ
片道3時間のトレッキングでマウントクックから朝日を狙う
星空で世界遺産認定を狙う素朴な村で星空ツアーと温泉、オーロラハント
震災から5年。ニュージーランド流復興視察、まさかのオーロラハント
バスとフェリーを乗り継いで、対岸の半島へ。都市部夜散歩