ハロー!
2016年7月上旬、ニュージーランド航空さんに航空券をいただいて、ニュージーランドを10日間旅してきたコヤナギユウだよ!
昨夜は誰もいないクイーンズタウンのキャンプサイトで、生まれて初めての野営。
心細いかと思いきや、なんか解放された気分でとっても楽しかった。
今日はニュージーランド最高峰Mt.クック/アオラキを目指し、5時間のドライブ!
日本で5時間も車の運転って思うと憂鬱だし、コヤナギなんて車の運転がどちらかというと嫌い。
東京でハンドルなんてまず握らない。
田舎や離島へ行ったときだけ、渋々運転する「田舎限定免許」だ。
それでも、Mt.クックへのドライブはまったく気が重くない。
まっすぐと永遠に続く街路樹に併走していたかと思えば、緑美しい丘に点々と(それはまるで植物のように)「生えている」羊たちはなんだかファニーだし、そうかと思えば広大な牧草用の畑では桁違いの水やり機ドラム(直径100メートルはある)がゴウンゴウンと平然と行き来し、かすかに見える山並みに囲まれてからっからにひからびた荒涼の大地が広がっていたりする。
山を一つ越えるたびに、想像していなかった別ジャンルの絶景がどんどん現れて、ハンドルを握ったままわたしは何度も何度も「スゲー!」「すごいよー!」「ひーろーいーー!!」と叫ぶ。
目の前に広がるすがすがしくて少し心細くなる絶景は、エレファントカシマシのアルバム「ココロに花を」が気分にぴったりだった。(全然違う世界観なんだけどさ)
唯一不満があるのだとしたら、自分で運転してるから写真を撮る余裕が(運転技術的に)なかったってことかな。
眺めがきれいな車寄せに寄り道して、クイーンズタウンのパン屋さんで買ってきたカップケーキでサクッとランチ。
今日の絶景おやつはクッキーモンスターカップケーキ! 毛はココナッツで意外とおいしい。 #airnzjp #link_nz #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA
もっともっと、心を打たれた絶景はたくさんあるんだけど、車止めがなかったり、ゆっくりもしていられなかったり。
マウントクックは自然公園の中なので、入ってしまったらお店がないそうだ。
つまり、最後の街で食料を買って、日が暮れる前にキャンプサイトへ入りたい。
お店がないくらいだもの、道路にもキャンプサイトにも、きっと街灯なんてないに決まってる。
そう頭では分かっていても、道行く風景は美しすぎて、なんとか写真に収めたくなる。
あそこも、あの大地も、山も、本当は撮りたかった。
マウントクック直前の最後の街、トワイゼルに到着。
スーパーがどこにあるのか分からないけれど、とりあえずハイウェイを逸れて街に入ろう。
小さい街だから、スーパーはすぐに見つかった。
マウントクックには二泊する予定だ。
今日の夜から明後日の朝まで最低5食分用意する必要がある。
ただ、そのあとはテカポの村に泊まるので、おそらく自炊はここが最後。
買い込みすぎても余らせてしまう。
すぐに調理できて、保存がきくものということで、パスタソースとラビオリ、それと缶のスープにパックの白パンを買い足した。
あ、あと生野菜ね。
外国の生野菜サラダパックって本当に便利で大容量で大好き!
さて、すっかり夕暮れに焦りつつ、路面凍結も怖いから急ぎすぎず道を行く。
この湖を越えたらマウントクックだぞ、なんて思っていたのに、その姿が見えるよりも先にとっぷりと日が暮れた。
というか、この湖でかすぎるし、最後の街が意外と遠いし、自然公園を完全に侮っていた。
夜道運転もすでに慣れたもので、片側通行の橋の標識に「知ってる知ってる」と声を挙げてマウントクックのふもとについた。
高級ホテルも完備されている観光客向けの小さな村だ。
小さなあかりが丸く集まっていて、人の気配を確認できた。
今日宿泊するのは、その中では破格の無人キャンプサイト。
どこにあるのか分からず高級ホテルに併設してあるインフォメーションセンターを訪ねたら、なんと日本人スタッフが!
日本語有り難い〜。
肝心のキャンプサイトはここから車でもう20分くらい。
「フッカーバレー」というトレッキングルートの入り繰りにあるという。
あ、そこ行こうと思っていたところだ!
真っ暗闇の駐車場……もといキャンプサイトに到着して、いそいそと夕飯の支度。
今夜は早めに仮眠して、夜中のうちに出発し、マウントクックの日の出を狙いたいのだ。
愛車のキッチンを開いて、お湯を沸かす。
寒さのせいか、気圧のせいか、全然沸騰してくれないお湯にラビオリを放り込む。
ふたをしていないと沸騰が収まってしまう。
小さいながらも必要なものが収まり、ちゃんとしたかわいいキッチン。
おやつのスナックも、おいしいサイダー(アルコール)もある。
明日の朝ご飯も一緒に用意する。
クイーンズタウンで調達してきたおいしいパンに切り込みを入れ、チーズを挟み込んだだけだけど。
今夜はラビオリとサラダだぞっ。
自宅とほとんど変わらないメニュー。
わたしの食事って、もともとキャンプっぽいんだなって思う。
iPhoneの目覚ましの音で目を覚ました。
寝間着から最上級の防寒服に着替え、バックパックに三脚を2台積み込み、朝ご飯のチーズサンドとデザートのヨーグルトを放り込む。
このキャンプサイトには何台も車が止まっているけれど、こんな時間に動き出している人はわたしひとり。
ヘッドライトのランプを照らして、小さな看板を見つけて、真っ暗闇の中を歩き始めた。
(実は地図を読み違えて40分くらいロスしてる)
自然公園の中にあるホッカーバレーには街灯なんてもちろんないが(夜歩くところじゃない)、道はきちんと整備されている。
遠くは全然見えないけれど、だんだん目が慣れてくると、道が整備されていることもありヘッドライトを消して歩くことが出来た。
なるべく、この自然に溶け込むようにして歩きたかったのだ。
寒いしよく見えないけれど、不思議と怖い気持ちも辛い気持ちもわかなかった。
こんなにすばらしいところを、夜中ひとりで歩けることがただただ有り難かった。
というのも、ニュージーランドには人間命を脅かす野生生物はいない。
飛ばない鳥が生まれたのもその貯めた。
けがにさえ気をつけておけば、安全といっていい。
人間に出くわしたら怖いけど、幸い真冬の自然公園の中で待ち構えている変態はわたしくらいのようだった。
くねくねとした道を抜け、どうやら巨岩の脇を通ったり、吊り橋をわたり、桟橋の上を歩いたりしながら(暗くて見えない)どうやら「これ以上先はない」っていうところについたようだ。
観光客向けの大きな木のテーブルベンチがある。
少し高台になっており、下にはうっすらと氷河が見える。
道だか坂だか分からないところを慎重に降りる。
(こんなところで足をくじいたら恥ずかしすぎる)
ざあざあと風にたなびく湖の水面の音は、下に降りたら轟音に変わった。
どこかに滝があるのだろう。
正面の山の間から大きな山の気配を感じる。
きっとあれがマウントクックだろう。
ザックを下ろして三脚を立てる。
人間の目には限界があるのでカメラを長時間露光して確かめる。
やっぱりだ。
目の前にマウントクックがいる。
今日は北の方向を向いているのでオーロラは狙えない。
だけど、きっと右手から太陽が出てくるはずだ。
マウントクックからのご来光なんてすてきじゃないか。
TimeLapseを仕掛けて、そのときを待つことにした。
朝6:40のマウントクックです。 #airnzjp #link_nz #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA
(撮影の様子。緑のライトはコヤナギのカメラのもの)
……出ない(笑)。
すっかり明るくなってとっくに朝なのに太陽出てこない(笑)。
(マウントクックみたいな氷河がいた)
あれー、おかしいなぁ。
(完全にヒマをもてあましているコヤナギです)
何にもやることないから、散歩したり、探検したり、平たい石を拾って氷河で水切りしてみたり。
待てど暮らせど太陽出ない。
朝ご飯を食べながら待っていてたら、じっとしていたので身体が冷えてきてしまった。
デザートのヨーグルトは食べられそうもない。
振り返ると後ろの山にはさんさんと太陽が降り注いでいる。
「まだあそこかー!」
わたしがいるところに陽が到達するまで結構時間がかかりそうだ。
寒いし、ここが照らされるころには、かなり太陽が高くなってしまって「ご来光」ではないだろう。
太陽に輝く氷河も見たいけど、観光局のパンフレットみたいな「フッカーバレー」然とした写真をわたしが撮っても意味がない。
……帰ろ。
あの真っ暗でなにも見えなかった吊り橋とか気になるし。
(昨夜は二人っきりになれて嬉しかったよ、クック)
氷河が溶け出した水は石灰が含まれ水色を帯びた白濁色をしてる。
フッカーバレーには3つ吊り橋があった。
どれも氷河の上を渡るもので、高さもそれなりにある。
怒号のような川音だけで足を奪われそうな気分になるが、川上に目を向ければMt.クックが見えて妙な安心感を覚える。
あっ、念願の太陽が見えて来やがった!
なにかの呪いが解けたみたいに、太陽の日が当たったところから血液が喜んで身体を巡る。
ア……アイ・ライブ!!!!!
植物も太陽を浴びてキラキラと。
見たことないやつばっかりだけど。
日が昇って山にはまれた立地なので、太陽の影になってしまうところもある。
失ってもやっぱり気がつく太陽の偉大さ。
でも、いい道です。
トレッキングコース入り口近くになると展望台もあった。
3時間のトレッキングが難しい人への配慮だろう。
わたしは夜中に出発したからガチな装備で挑んだけど、そもそも老若男女が鼻歌うたいながら、おてて繋いで歩くような散歩道なんだ。
太陽が昇ってからすれ違う観光客たちは、みんなこぎれいな格好をして、なんなら香水の香りだって漂っているしミニスカートもいた。
つまり、恥ずかしかった。
そんな自分が好きなんだけど。
言わせんなよ、恥ずかしい。
(展望台からの眺め、下方)
それからしばらくいくと、また記念碑のようなものがあった。山で遭難し命を落とした人を悼む慰霊碑だ。
独特の神々しさをまとっていて、眺めもいい。
遭難者慰霊碑か……。
むかしはこんなトレッキングルートもなかっただろうし、お気楽な気持ちであの氷河を望めなかっただろう。
それにわたしだって、いくら命を脅かす野生動物がいなかったからって、なにが起こるかわからなかった。
ここは山だから、天候が急変したかもしれない。
暗闇に足を取られて怪我をし、動けなくなっていたかもしれない。
あの寒さの中、動けなかったあどうなっていたのだろうと思うとぞっとした。
朝ご飯を食べた少しのあいだ動かないだけで、あんなに寒くなったのに。
……あ、そういえばヨーグルトまだ食べてない。
キャンプサイトで食べるのもなんだか味気なく思えた。
慰霊碑を見上げる。
先輩、一緒にいいですか。
Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA
ホッカーバレーを歩き始めたときも、不思議な安心感があったけど、いまはその何倍も、多幸感に包まれていた。
さて、キャンプサイトに着いた!
2日も野営してお風呂に入っていないので、今夜はYHA(ユースホステル)に泊まってみるぞ。
今夜はカメラをちょっと肩から下ろして、リラックスしたMt.クックを過ごしてみたいんだ。
最後に帰り道の360度動画を貼っておくね。
PCならchromeやFirefox、スマホやタブレットならYouTubeアプリで見てみてね。
(……今度動画を撮ることがあったらもうちょっとちゃんと喋るね)
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