今日からいよいよユーコン準州へ移動する。
冒険の旅の始まりだ。
解いたばかりの荷造りを済ませて、ホテルのロビーで待ち合わせをする。
6人の荷物を運ぶためタクシーを手配してもらった。「その人数だと“リム”になる」と言われていたが、到着した車を見て、全員あぜんとした。
早朝のバンクーバーに真っ白なリムジン。
乗り込むと中にはミニバーもあって、まったく爽やかな朝と似合わない。
面白い一日の始まりになった。
バンクーバーの空港でひとり合流する。
名前は平田さん。トロントのカメラマンだそうだ。
実はこの平田さん、2年前にあった「リアルタム・リアルカナダ」という企画で、安藤さんとトロントで出会ったそうな。
国内線のエアカナダで、飛行機はホワイトホースへ向う。
薄い水色の機体に、赤いサトウカエデのマークがかわいい。
到着ゲートも出発ゲートも1つで、バゲージが流れてくるコンベアも1つ。
小さなお土産やさんと喫茶店はあるみたいだけれど、大都会バンクーバーの空港と比べると、クラブハウスのように小さくて、空港からも「素朴さ」みたいなものさえ感じる気がした。
迎えてくれたのは現地のガイド・トモさん。
トモさん「ひさしぶりです」
ジェットさん「今回もよろしくお願いします」
ジェットさんは昨年、冬のカナダへ撮影に来ており、ホワイトホースでオーロラを撮影したんだそうだ。
そんなわけで、冒険旅行の仲間はこんな感じ。
ジェットダイスケさん
……プロビデオブロガー。ホワイトホースへ行ったことがある。
DJファンキー・フレッシュさん
……DJ兼HDRフォトグラファー。ボストン留学の経験があり英語が堪能。
安藤さん
……アジャイルメディアネットワークス社員さん。旅の細かいところをフォローしてくれる。
小原さん
……野生動物・蛍フォトグラファー。マンゴープリンが大好き。
山下さん
……テレビディレクター。仕事の関係で世界の秘境へ度々ロケハンに行く。
平田さん
……トロント在住のカメラマン。「リアルタイム・リアルカナダ」で安藤さんと出会った。
トモさん
……今回のユーコン準州冒険旅のガイドさん。
コヤナギユウ
……私。2年前に「リアルタイム・リアルカナダ」という企画にブロガーとして参加させてもらい、恐縮している。
改めてジェットさんのオーロラ動画を拝見したら、とても綺麗に撮れていた。
ジェットさん「いやいや、全然納得いかないよ。今回はリベンジのつもりで撮りに来てるからね」
その動画は「タイムラップス」という複数の写真を繋げて作られた映像らしい。
オーロラを見たことがない私には、十分過ぎるほど綺麗な映像だったのに。
ジェットさん「あんなもんじゃないから」
オーロラってどんなものなんだろう。想像ができない。
トモさんのバスに乗り込み、ホテルへ。
「ハイカントリーイン」にチェックインして、部屋に行ってビックリ。
ジャグジーがある。どうやらこれがウリらしい。
ホテル併設のパティオ付のカフェでランチを食べ、旅の予定を確認する。
私がランチに選んだのは「バイソンバーガー」。
バイソンとは別名バッファロー。
体調240-380cmの大型動物でウシ科。体重は500~1100kgにもなるそうだ。自然の豊かなカナダ・ユーコン準州ではさまざまな野生動物が生息しており、バイソンもその主たる動物。カナダでは野生動物を食肉とするジビエが盛んだけれど、これは残念ながら(?)養殖だそう。
つなぎの少ないしっかりとしたハンバーグは、「肉を食べている」という存在感と食べ応えがあり、脂肪分は少なくヘルシーに感じられた。くさみも感じず、なんだか強くなれそう。
「カナダ 食事」でGoogle検索すると、予測候補で2番目に「まずい」が出てきてしまうけど、ホワイトホースの食事の幕開けは順調だった。
はち切れんばかりになったお腹を文字通りさすりながら、ふたたびバスへ乗り込んでドライブ。
市街地から30分程度。山を登ったようなところでバスは止まった。
眼下に広がったのは、日本で生まれ育った私には「映画のような風景」と形容するのがぴったりと来る絶景だった。
鋭角に鋭く突き出た青みがかった緑の杉の木々が永遠と続き、エメラルドグリーンの川が風景に変化を与えている。
遠くの山々は浅葱色に霞み、この風景の中で雲だけが動いていた。
天気は曇っているのだが、湿度を含まない風が髪をさらう。
それ以外、自分が実際にここに立って、その風景を見てるというリアリティが感じられないほどだった。
ここは「マイルズキャニオン」という場所だそうだ。
川辺に近づける場所まで連れて行ってもらいおどろいた。
あのエメラルドグリーンの川の色は、空の色をうつしたものではなく、そのままの色だった。
オレンジの岩肌はディズニーランドで見た覚えがある。
そう、まるでビッグサンダーマウンテン。
あのオレンジ色の岩肌は塗装なんかじゃない。
目の前のあの岩肌も。
自然の中に、これらの色は実在したのだ。
そこへ丁度赤いカヌーが流れてきて、手を振った。
生まれて初めてカヌーに乗りたいと思った。
ホテルに戻り、次はマウンテンバイク乗り換えて「ミレニアムトレイル」という場所をサイクリングする。
市街地に近いユーコン川沿いの遊歩道にダムや、それに併設した川を登るサケのスロープ「フィッシュラダー」や、ゴールドラッシュの時代に物資を運んで活躍した最後の蒸気船「S.S. クロンダイク号」を見ることができる。
フランス系カナダ人のガイドさんについて走る。
ここに来て自転車に乗れるのは楽しい。
早朝ジョギングでもしたら気持ち良さそうな道を抜け、橋の上に。
川の上流にはダムが見えた。
ホワイトホースを流れていたユーコン川は流れが激しく、ダムが出来るまではよく氾濫していたらしい。
「ホワイトホース」という地名も、急流の白波が、白い馬のたてがみに見えたことから名付けられたそうな。
ダムの直下で激しく波立つ川の中に、確かに馬の姿が見えた。
夕食は町の中心部のレストラン「Burnt Toast」へ。
外観はカジュアルなカフェかと思ったら、内装は黒く塗られた壁に大きな木製の分厚いテーブルが鎮座していて都会的。
あの素朴な空港の印象とも、鉄色の森が広がる絶景とも結びつかないオシャレなお店だ。
ここではアースティック・チャー(北極イワナ)の包み焼きをチョイス。
クッキングペーパーを開けると透明感のある湯気が立ち上り、レモンとバジルの香りが広がる。
ふっくら蒸された白身は柔らかく、塩味が魚の旨味を引き立て、思わず瞼を閉じて味わってしまった。
今夜もユーコン準州は美味しい。
何もかも完璧な冒険旅行のようだけれど、ひとつ、大きな懸念があった。
それは天気だ。
日中も小雨がパラつき、初のオーロラハントが心配だった。
特にカメラマンの小原さん、平田さんや、HDRという手法で撮影するファンキーフレッシュさんはオーロラ撮影に掛けていた。そして、昨年のオーロラ撮影のリベンジを願うジェットダイスケさんも。
今回は「夏オーロラ」ということで、真っ白な雪景色や凍った湖ではなく、静かな湖面に映り込んだ「逆さオーロラ」を撮りたい。
だけど、水辺で撮影できそうなチャンスは今日しかない。
夕飯を終え、オーロラ撮影のために集合すると天気は残念ながら雨。
それでも望みを捨てきれず、気まぐれなお天気を信じて我々は「フィッシュレイク」へ。
雨雲で星も望めない暗闇の中、湖面も海のように波打っていた。
三脚を立て、空を撮っても何も映らない。
しばらく粘ってみたけれど、雨は強くなるばかり。
水に反射する「夏オーロラ」。
今日見れなければもう無理なのか。
落胆の中バスに戻り、部屋のジャグジーでひとり、冷えた身体を温めた。
右手の黄色い看板が出発・到着ゲートで、後ろの人だかりは荷物が出て来るのを待っている人々。このエリアで空港の機能は終わりという小さなホワイトホース空港。
1部屋1ジャグジーな Coast High Country Inn
ホテル併設のレストラン。この後「80年代なテラテラしたスーツの男たちがいる」とジェットさんがそわそわし始めた。
メニュー。1カナダドル=約100円くらい。私がチョイスしたバイソンバーガーは16ドル。
用意してくれたアペタイザー。カレー風味のディップにシャキシャキの野菜を付ける。「極北」なのにお野菜が美味しい。
これが魅惑バイソンバーガー。自分では猟れない肉を食べる有り難さよ。
私の筆力では書き尽くせない絶景。木の形が「外国」という感じだし、水の青さたるや、模型か!
人が入るとそのスケールが少しは伝わるでしょうか。氏はフレッシュさん。
咲くを乗り越えた先にベンチ発見。誰しもゆっくりこの風景を楽しみたいはず。でも、足を踏み外したら15秒くらいでユーコン川です。氏はジェットさん。
エメラルドグリーンのユーコン川のほとりへ。CGみたい。ジェットさんの貴重な撮影風景。この動画。
正直、ディズニーランドで見たあのオレンジの岩肌や青い川はデフォルメしたもので実在しないと思ってました。
いいタイミングで赤いカヌーが。生まれて初めてカヌーに乗ってみたいと思った。ここで。
フレッシュさん「やべー、ディズニーの元ネタここだわー」って言葉が忘れられません。
マウンテンバイクでサイクリング。自転車に乗るのが久しぶりすぎる面々も。
左手に見えるのがサケのスロープ。なんと途中でヘアピンカーブがあるのだが、ちゃんと登れるらしい。
ダムから吹き出すユーコン川の飛沫。白い馬のたてがみが見えまくりです。
北米のパリとうたわれた「ドーソンシティ」へ物資の運搬に役立った当時の生命線の蒸気船。
ホテルから中心部までお散歩。ホワイトホースのゆったり加減が伝わるでしょうか。
ドイツの文学少年に愛されている名著「野生の呼び声」著者ジャックロンドン氏。この本の主人公はサンディエゴから密売された名犬バックが主人公。ゴールドラッシュの時代に野生の声に従って犬ぞりを引き、ホワイトホースからドーソンシティ舞台とする冒険活劇。
ディナーを頂いたBurnt Toast
オーロラ撮影のロケーションについて熱く語るみんな。なんとか予定を調整してもらって水辺での撮影を交渉する。しかし天気が心配。
北極イワナは極北に来たら必ず食べたい逸品。刺身もうまいらしい。
オーロラハントならず、ジャグジーに湯を張る深夜3時。小さく見えるけど、2人が横になっても十分な大きさ。ひとりで入るんだけど。
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INDEX 北極でオーロラが出てるとき、南極にも同じオーロラが出ているらしい #カナダでオーロラハント 00
この日のオーロラハンターたちのブログ。
カナダでオーロラハント Day2 | PHUNKYPHRESHPOST
リムジンで空港へ: 小原玲(動物写真家)のブログ
ホワイトホースに到着: 小原玲(動物写真家)のブログ
北西カナダのユーコン準州で秋のカナダを体験中です ~ トロントで暮らすブログ
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オーロラハンターたち
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