2013年4月19日から22日まで、東京から高速バスを乗り継ぎ、仙台経由で桜前線を追いかけて、石巻に来ました。(最初から読みたい方はこちら)
最終日は、なぜか青山さんと松島デートです。
朝、青山さんのお迎えと一緒にカーシェアリング事務局の方がいらして記念撮影。
(すごい微妙な間ですけど)
あの「READYFOR?」は2回目だったらしいんだけど、実際に石巻へ案内してもらいに来たのは私だけみたい。
挨拶もそぞろに出発し、今日東京へ帰る私に青山さんがお土産の心配をしておまんじゅう屋さんへ連れて行ってくれた。
どれにしようかなーと悩んでいると、ササッと会計をすませて「ハイ!」と青山さん。
あわわわわ、また買ってもらっちゃったよ。
いやしかしこれはデートだ。
動じてはならねぇ。
青山さんはハンドルを北にきり、車は一路、日本三景の松島へ!
フェリーで切符を買い、出航までの間、牡蠣を食べることに。
日本三景である松島も津波で被災。
そこら中ヘドロで大変だったそうだ。
そんなお話を伺いつつ、牡蠣も沸き立つ。
めちゃめちゃ美味しかった。
フェリーの船着き場には凄い数のカモメ。
で、こいつら、出航してからも凄かった。
追ってくる!
振り向けばカモメ。
こんな感じで遊覧船は島々をアナウンスして、風光明媚な風景を紹介してくれる。
遠くに見える趣ある島は、私の写真なんかに納めてもチープなもんです。
正直、ちょっと退屈そうな青山さん。
「こんなもんかよ」と漏らしているのが聞こえてきそう。
「なに、期待してたんだよ」
少し早めに仙台へ出発。
バスに遅れてしまっては、元も子もないから。
車の中で青山さんといろいろな話をする。
青山さんは一度故郷を捨てたつもりでまた戻ってきた人。
自責の念があるからこそ、今のカーシェアリングを利用した送迎のボランティアが嬉しいようだった。
青山さん「俺はね、好き勝手やってきたからいつ死んだっていいんだよ」
コヤナギ「そんな。そんなこと聞かされて私はなんて言えば良いんですか」
青山さん「ユウちゃんが彼女になってくれるんならいつ死んでも良い」
コヤナギ「じゃあ長生きできますよ」
青山さん「……」
コヤナギ「青山さん、東京から私みたいな人が来るのをどう思いますか?」
青山さん「うん?」
コヤナギ「石巻には来たかったんです。
でも状況が状況だし、観光って言って良いのか分らなくて、1日や2日のボランティアとも違う。
正直『冷やかしだ』って言われても否定できないと思ったんです。
だから来たかったけど、理由が欲しかった。
このカーシェアリングの応援をしたのも、応援する見返りに石巻を案内してくれると言うものがあったらから、
案内してくれるというのなら、行っても良いんだと思ったんです」
青山さん「……うーん。ユウちゃん、石巻の駅前には行った?」
コヤナギ「はい」
青山さん「あの辺はベンチで昼間っから酒飲んで寝てるやつがいるだろう。
あいつらみんな被災者なんだよ。支援金を受け取って全部飲んじゃってる。
もう働く気がないのよ」
青山さん「津波でやられたかどうかなんて運みたいなもんだ。
それまで真面目にコツコツ働いてきても、ふざけていても、津波でやられる時は関係ねぇ。
もう働く気になれないのよ」
コヤナギ「分る、なんて軽々しく言えないですけど、理解できます」
青山さん「確かに、外から人が来るのを良く思わないヤツもいるよ。見せ物じゃないってね」
私の背中がヒヤリと硬直する。
青山さん「なんとかしなくちゃならねぇって言って、なんとかしてるヤツなんて100人に1人くらいだ。
あとの99人は文句言ってるだけ。文句言うしか出来ねぇんだよ」
コヤナギ「……」
青山さん「……」
コヤナギ「私は悩んだんです。
石巻に来ることも、石巻に来たということを、ブログに書くと言うことも。
どう紹介していいのか分らない。
私はジャーナリストでも専門家でもないから、書くことで何かの正義になるとは思えない。
だけど、私みたいにもモヤモヤ気になっている人に、どうだったかを書きたい。
だけど、正直まだ迷っています。なんて書けば良いのか。
石巻に、人は来ていいのでしょうか」
青山さん「来れば良いんだよ!
文句言うヤツはいるよ、そりゃ仕方ねぇ。
だって文句を言うことしか出来ないんだから。
来たい人は来れば良い。観光したい人はすれば良い。
町が賑わえば、喜ぶ人はいっぱいいる」
コヤナギ「確かに……」
青山さん「俺は難しいことは分らねぇよ。
いつ死んだって良いと思ってる。
だけど昼間から酒を飲むようなことはしねぇ。
それだけは決めてるんだ」
コヤナギ「青山さん……」
青山さん「……年金機構って知ってるかい?」
コヤナギ「はい?」
青山さん「65才から交付される年金を担保に金を借りられるんだ」
コヤナギ「そういうところだったんですか」
青山さん「俺はまた、金を借りようようと思ってんだよ」
コヤナギ「は、はぁ」
青山さん「その金でさぇ、ユウちゃん、一緒に温泉旅行に行こうよ」
コヤナギ「ははは」
青山さん「ユウちゃんが一緒に温泉に行ってくれたら思い残すことはないなぁ~」
コヤナギ「……長生きできますね」
車は無事に仙台駅に到着。
青山さんはとうとう私に一銭も払わせなかった。
これは支援した金額じゃ間にあわないんじゃないだろうか。
青山さんからは今もたまに、ラブメールが届く。
割と押しが強いから、返事したことがなかったけれど、ブログを書き上げたら、メールの返信をしてみよう。
2013年9月9日。
2020年東京オリンピック開催が決まったそうだ。
7年後を見据えて放射能汚染水問題や電力問題など課題が山積みの様子。
もっとも、オリンピックがあろうがあるまいが、課題であったことは事実。
オリンピック誘致が決まったからこそ、おしりを決めて各問題がよりスピーディに解決していって欲しいと思う。
そして、「東京オリンピック」は「東京」だけのきっかけに終わらないで欲しい。
「日本」で開かれるのだ。
2011年、世界に衝撃を与え祈りを集めた東北の、ピカピカとまばゆく復興した姿を2020年には見せたい。
そのためにも、私たちも忘れず、続けて、東北の復興を祈る。
石巻の桜は美しく、石巻の男たちは漢らしく、海産物は美味しかった、と。