石巻に来て、まずは日和山にて桜を堪能済み。(くわしくはこちら)
次は石巻の市街地を歩いてみようと思います。
ニンニン。
なんとなく、日和山を降りて、市街地の方へ来てみたが、
まったく土地勘がないのでどっちに歩いて良いのか分らない。
ひとまず、駅に戻って荷物をとり、宿にチェックインしようと思ったんだけど……
桜につられて寄り道していたら駅がどっちだか分らなくなった。
iPhoneを起動して、GoogleMAPを確認し、なんとかかんとか歩く。
繁華街は静かだった。
さっきまで日和山という賑やかな場所に居たせいか、余計に静かに感じる。
カメラを向けて良いものか悩む。
所々空き地があり、それは津波で倒壊したものだとすぐに分った。
建物は残っていても、もう営業していないお店も多い。
そこへカラフルな壁が目に入った。
おそらく復興ボランティア関係のものだと思う。
下北沢でも落書きを防ぐ為にシャッターに絵を書くと言う試みがあったが、当時は意味があるのか、懐疑的に思った。
だけどここにある壁画を見てホッとした。
少なくともよそ者の私には。
カメラを向けても良いんだ。
何も知らない、体験していない私が、居ても良いんだと思った。
「236cm」は津波の到達ラインだと思う。
この壁が絵に覆われているだけで、雰囲気はずいぶん違う。
取り壊しで空き地になったために、剥き出しになったであろう
このコンクリートの壁が、そのままだったら、と想像した。
絵でお腹はふくれなくても、胸を暖めることは出来るんだなぁと、しばらく眺めた。
↑地域の方が書いたとおぼしき水位のサインも、訪問者の私を拒絶はしてない証な気がして、津波の悲惨さも確かに感じたが、その先に居る人の顔が見えた思いだった。
石巻の駅近郊はマンガでの地域活性に力を入れていて、ホント、あちこちに「マンガ」がある。
正直、石ノ森章太郎作品は私にはど真ん中じゃない。
だから逆に、ちょっぴり記憶に残っているロボコンが気になってしかない。
(あ、でも調べたら私が生まれるより先に放送終了してるから、私が見てたのは再放送なのかな)
これらは「いしのまきマンガロード」という試みで、
他にも「マンガ家ギャラリー」という有名漫画家のプレートもあった。
好きな漫画家だけピックアップ。
で、私は駅に向ってるつもりだった。
駅のロッカーに荷物を預けていたから。
荷物をピックアップして、宿にチェックインしようと思ってた。
しかし。
あ、あれ?
ここは行こうと思ってたら外観を知ってるぞ。
「IRORI石巻」
地図を再確認。
日和山を降りてきて、駅に向ってたはず。
(この地図で言うところの下部中央から左上に向っていたはずが、中央右手にいる)
ま、まぁいいか。
テキトウに地図を見て、テキトウに歩く私には、度々こういう事が起こる。
方向音痴というか、途中で真剣に地図を読み解く努力を怠るのだ。
「どうせいつか着くでしょ?」と。
IRORI石巻は社団法人「石巻2.0」が運営するサロンのようなもの。
wi-fiと電源を開放し、情報交換が出来る場所で、300円でコーヒー飲み放題。
サロン的に利用出来る他、自分のパソコンを持ち込んで自分の仕事をしていたってOKだ。
↑IRORI石巻にあった立体地図。土地勘の備わった今ならよく出来てるのが分る。
復興支援アイテムの販売も少しあって、念願の石巻工房のトートバッグと手ぬぐいが買えた。
新潟へ帰省した際、ヒッコリースリートラベラーズのギャラリーで見かけて気になってたのだ。
というか、純粋に可愛くて忘れられなかった。
ここにアイテムの詳しい情報はあるけれど、通販はどこで出来るんだろう……。
あ、石巻工房ウェブショップ発見!
コヤナギが買った同じトートバック(大)はこちら。あれ、手ぬぐいは通販してないのかしら。丸の内のハーマンミラーで売ってるかも?
ここまで来たので、近隣施設の紹介を。(店内を覗きに行けたのは次の日なんだけど)
IRORI石巻近くにある、モダンな建物が目をひく。
ここは石巻に最初に出来たデパートが「復興ステーション観慶丸」としてオープン。
津波の被害で被災した1階をリニューアルして開放している。
この「さおり織り」体験が日によって出来るらしい。
もちろん、個人差はあるが、30分程度で下記の用なランチョマットが織れるとのこと。
店の奥では店主が来客者に津波の時の様子を語っていた。
IRORI石巻が町内外の若者による復興支援なら、こちらは地元の大人発の復興支援、という印象を受けた。
一旦駅に戻り、予定通り荷物をピックアップ。
宿にチェックインする。
着いたのは「菊池旅館」
地元の人も知らないひっそりとした宿で、津波に被災して再開したばかり。
新館を増築し、とても綺麗な宿だった。
新館宿泊で朝食だけお願いし、一泊5500円。
まだホームページもオープンしておらず、口コミのみ。
私はここを見て直接電話し、予約をした。
スタッフ不足でいまはボランティアの人が手伝ってくれているらしい。
バストイレ別で個室に付いていて、和室の畳ベッド。
私が泊まったこの部屋は、増築された新館。
羽毛布団はフカフカだし、浴衣もあった。
エアコンも最新で、ライトもリモコン操作可能。
作業用の机もあって、とっても快適だった。
一息つこうかなと思って、明日の天気予報を確認すると……雪!?
翌日はほとんど動けなさそうとスケジュールを組み直す。
本当はフェリーで40分で行ける猫の島「田代島」でも行こうかと思っていたんだけど、
クロサワさん曰く「宿泊するつもりがなければ、少し風が強いだけでフェリーが止まって、
帰って来れないことが多いので止めておいた方が良い」とのこと。
じゃあ、日が暮れる前に街の地理だけでも把握して、外観の写真を撮っておこう。
カメラを持って急いで出かけた。
夕暮れに見たかったものがあったのだ。
中洲になっている島にある「石ノ森萬画館」を横切る。
隣には文化財である「石巻 旧ハリストス正教会」が復元を待ち帆をかぶっていた。
その隣をすり抜ける。
私が見たかったのはこれだった。
自由の女神。
日和大橋と太平洋に向ってたたずむ、左足を失った、自由の女神。
もともとここは「中瀬マリンパーク」という公園で、そこのシンボルとして建てられたそうだ。
将来的には取り壊す予定だが、現在は復興のシンボルとして、そのままの姿でいまも女神は太平洋を眺めている。
・復興見守り2年 「自由の女神」 石巻市【東日本大震災パノラマ Vol.257】|産經新聞
そのまま地図を眺め、気になったところをフラフラと歩いた。
地図の中で、「Yahoo! 石巻復興ベース」と大きく書いてあるところがあったので、寄ってみた。
手招きしてくださったので、なんとなくお邪魔してしまった。
「もう少し早ければピザパーティに間にあったのにー!」
と快く迎えてくれた一件シェフの彼はデザイナーだそうだ。
ここはYahoo!のオフィスで「復興デパートメント」を主に行っているとのこと。
お話を聞かせてくれたのは写真右側の女性、角田さん。
中央にいるもじゃもじゃ頭の長谷川さんは昨年の夏(だったかな)ご家族で東京から移住して来られたそうだ。
長谷川さん「え? 東京から一人で来たんですか!?」
いやいやいや、それより家族で移住してる長谷川さんの方が驚きに値しますから。
(突然お邪魔したのに、ありがとうございました!)
元気に頑張っている人を見ると、元気をもらえる。
すっかり日が暮れてしまったけど、外観だけでも押さえておく。
いまもボランティア情報のベースになっているピースボート。
昼の間は気が付かなったけれど、IRORI石巻の隣に素敵なギャラリーがあった。
ここは横浜・石巻文化芸術プログラム実行委員会がアーティストが石巻を中心に、
国内外のアート活動を行う支援を目的として運営している「日和アートセンター」
私が行った日は、リチャード・バイヤーズさんによる「光とつくる」という
写真とドローイング、そして音楽のコラボレート作品が展示してあり、
なんとリチャードさんも在廊していた。
石巻のいまの風景を、ふんわりと切り取った写真と、
細いサインペンでなぞるように写し取った繊細なドローイングが印象的だった。
完全に日が暮れると、外観の2階に作品が投影され、
石巻の待ちを静かに彩る。
一度、宿に戻ろうかな、というところでクロサワさんから連絡が入った。
どうやら仕事を終えられたらしく、これから現在のオフィス兼ショールームにお邪魔させてもらうのだ。
見知らぬ土地の、部外者の私に、こういう風に連絡をくれる人がいることが嬉しい。