2017
04.22
01-1

DAY6:Punkva Caves(プンクヴァ洞窟)で鍾乳洞クルーズからの、チェコの“大阪”なBrno(ブルノ)でラストナイト

TRIP, 冬こそチェコへ行こう!


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冬チェコ6日目。今朝は早々にオロモウツを出発して次の町へ。チェコで過ごす夜も、今夜で最後。終わりがあるのが旅と暮らしの違いだな。目的地なんて通過点でしかなくて、結局終わりに向かってるんだ。寂しさがひっくり返って気持ちがくさくさしそうになると、車窓の風景が開けてきた。街中から郊外へ、郊外から田舎へ。バスはどんどん自然の多い方へ向かっていく。

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▼クラシックコンサートも開かれる鍾乳洞でクルーズMoravian Karst(モラヴィア・カルスト)

暗いので写真がドラマチックに天使の彫刻にしか見えない

オロモウツを出発してバスで1時間半。やってきたのは自然が豊かなスロヴァキアの国境に近いモラヴィア地方。ここで人気のスポットはモラヴィア・カルスト洞窟群という自然の神秘。5つの洞窟をガイドさんと共に探検することが出来るので、我々は一番人気は「プンクヴァ洞窟」へGO。いくつもの彫刻のような石筍や鍾乳石に囲まれ、クラシックコンサートも開かれる開放的な洞窟をすすんでいく。

しかし、ずんずん地底へ降りて行ったのにもかかわらず、突然の屋外! 光あふれる開放感。そこはマツェハ渓谷の谷の底でした。「マツェハ」とはチェコ語で「継母」の意味。聞けばちょっと怖い言い伝えがあるという。財産目的で再婚した継母が、邪魔な息子を谷に突き落としたもの息子はなんとか帰還。罪が明るみに出た継母を村人が継母をここに閉じ込めた……ということだけど、閉塞感はいっさいなく、開放感にあふれていた。

後半はまた穴の中に戻り、鍾乳洞クルーズ。美しいライトアップに浮かぶ水の波紋や奇形の石に囲まれて、ここは地球? と不思議な気持ちに。

チェコはモラヴィア・カルストの洞窟群にあるマツォハ渓谷の谷底。マツォハとは継母という意味で、その昔財産狙いで再婚した女が息子をここに突き落としたけれど生還。悪行が明るみになり継母がここに閉じ込められたという伝説が。でも怖い感じは全然ないかった。グルグルするとブロガーたちの舞台裏が見られますw #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA

▼見学予約は2ヶ月待ち! 現代建築の世界遺産トゥーゲンハット邸

 UNESCO World Heritage [世界遺産] 

左手の木の下で、スロヴァキアとの分離独立調印が行われた

プンクヴァ洞窟をあとにして、さらにバスで2時間ほど移動してチェコ第二の都市ブルノ(Brono)に到着。一番最初に訪れたのはこちら、「トゥーゲンハット邸」です。ブルノ中心部から少し離れた旧市街の北の丘の上にあるトゥーゲンハット邸は、見晴らしが最高。それもそのはず。トゥーゲンハット邸は1930年のユダヤ人の大富豪の依頼によって建てられた、当時では類を見ない、モダンな贅沢をすべて取り込んだような現代建築なのだ。

開放的な大きな窓は「借景」の概念があり、どの部屋からもブルノの街が見下ろせるほか、自動開閉機能がついていたり、結露を防ぐ熱線が走っていたり、インテリアの景観を崩すエアコンが壁の中に埋め込まれていたりと90年近く前の建築物とは思えない。戦前だよ!?

近代建築の原型とも呼ばれており、機能主義建築の中で最も美しいといわれることから世界遺産に認定されたのだ。

現代建築の世界遺産トゥーゲンハット邸! ここでチェコとスロバキアの分離独立「ビロード離婚」のサインが行われたんだよ。 #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA

▼地元の人に愛されるチェコ居酒屋=ホスポダ Lokál (ロカル)でランチ

目の前でスープをサーブ

ブルノの中心部自由広場へ移動してランチ。チェコのフードツアーでも訪れたポスホダ(チェコのビールが美味しい居酒屋のこと)ロカルにて。ブルノ店も内装や食器がジョークに富んでおりかわいらしい。特にルーレットになっているお皿がかわいくて、売っているなら欲しいと店を出た後つぶやいていたら、観光局の方に「それならお店の人にいえば買えたかもしれないのに! チェコではいわなくちゃ何も伝わらない、けれど、いえばだいたいどうにかなる。次はかならず「欲しい」っていってみて!」といわれました。もしもお皿がかわいくて欲しくなったら、ぜひ交渉してみてね。「このお皿は買えますか?」ってグーグル翻訳で話しかければいいだけだよ!

▼トラディショナルなホテルにチェックイン! Royal Ricc Brno

窓と天井には紋章が

ブルノの町歩きの前に、今夜の宿へチェックイン。ブロガーツアーの一団は、二手に分かれて別々ホテルに宿泊した。わたしが泊まったのはこちら。小さなクラシックホテル、ロイヤルリコブルノ。おとぎ話の世界に迷い込んだきゅっと小さな空間に、重厚なあしらいが詰まっている。その象徴はやっぱり客室。丸い木製枠の窓に紋章を記したステンドグラスが中世のチェコに迷い込んでしまったかのような錯覚を起こす。けれど水回りは(水圧を含めて)完ぺき。ふっくらしたペチコートを含んだロングワンピースでも着たい気分。

Barcelo Brno Palace

Barcelo Brno Palace

我々が泊まらなかった方のホテルもすごい! 19世紀の歴史的建造物を改装したという、ブルノの五つ星ホテル「バルセロナ・ブルノ・パレス」。なんといっても象徴的なのはこの真っ白は吹き抜け。ああ、ステキだけど、五つ星ホテルなんてきっと一生縁がない、なんて思っていたけれどチェコなら案外そうじゃないかも。というのもこちらの宿泊費、日本円で1万円ちょっと。信じられないでしょ?

チェコと日本では物価が2/3〜半分ほど違うため、特にお値段が張りがちなホテルがかなりお得に利用できるのだ。

▼プラハしか知らないなんてもったいない! 魅力的なぶらりブルノ

聖ヤコブ教会

プラハを知っていてもブルノを知っている人はまだ少ない。チェコはボヘミア地方・モラヴィア地方と大きく2つに分けられるという話を旅行記の最初に描いたけれど、プラハがボヘミア地方の中心部なら、ブルノはモラヴィア地方の中心部。

街の規模もプラハについて2番目の都市で、日本でいうとプラハが東京でブルノは大阪のような関係性なんだとか。そのせいか、街の人も不思議と関西人気質。おしゃべり好きでプラハに並々ならぬライバル心を燃やし、オリジナリティを重視して路面電車の呼び方は「トラム」ではなくドイツ式に「シャリーヌ」。しゃべり出したら止まらない、物事はなんでも大げさにいい、下ネタジョークもさらりとはさんでくる。

大学が多く学生がいるため街全体も元気な印象だ。当てもなく歩いているだけで不思議と楽しい気分になってくるけれど、メディアツアーの旅レポートらしく、ちゃんと見所をPick Upしておこう。

旧市庁舎

市庁舎の正面モニュメント

正面入り口に象徴的な小塔が5本立っているのが旧市庁舎。しかしこの小塔、よく見ると中央が……曲がっている? 言い伝えによるとこれは十分な報酬をもらえなかった建築家による「腹いせ」といわれているが、堅いはずの石細工をこのように「くにゅり」と曲げて見せる技術力を使ったジョークともいわれており、真相は不明。その下の通路にはブルノの「街のシンボル」といわれている……「ドラゴン」と車輪がある。しかしこの「ドラゴン」、どう見てもワニ。どうやら当時のブルノのひとたちは、ワニのことをドラゴンだと思っていたらしい。

チェコ全体が歴史深い国だけれど、ブルノも例外ではない。1511年に建てられた旧市庁舎は改築や増築を重ね、特に「昔は監獄として使われたいた」という建物の隣になる中庭から眺める風景は、シロウトが目で見ても途中から明らかに建築様式や材質が変わっている

聖ヤコブ教会

白いステンドグラスが開放感を演出

ここまで大理石、木造など迫り来るど迫力に圧迫感さえ感じる教会をたくさん見てきたけれど、こちら聖ヤコブ教会は趣が違う。外観では地味で暗い印象の教会だが、中に入ると白い光に包まれた。秘密は白い壁もさることながら、真っ白なステンドグラス。歴史や神話が刻まれたステンドグラスもステキだけれど、柔らかい白い光も魅力的だった。

聖ヤコブ教会 納骨堂

ヨーロッパで2番目に大きな納骨堂

2001年、真っ白なステンドグラスを持つ聖ヤコブ教会の地下に、初めて納骨堂がみつかった。そこには人々に忘れ去れた5万人以上の人骨があったという。

聖ヤコブ教会の墓地は13世紀からあるけれど、中世に大流行したペストやコレラ、それに30年戦争などの犠牲者などたくさんの埋葬者がでたため、墓地のキャパシティの問題で埋葬から10年以上経った古い墓は掘り越され遺骨を移していたとか。

ここにある人骨はすべて一度外に運び出され然るべき処置と消毒を終えたものが納骨堂として収められ、当時を伝えてくれている。主に頭蓋骨と大腿骨で形成されており、不思議とおだやかな気持ちになるだろう。たくさんの人骨をじーっと見つめ、人の顔は骨から全然違うんだなって思ったよ。

クリスマスマーケット

ジンジャーブレッド

我々がブルノを訪ねたのは2016年12月11日。自由広場にはクリスマスマーケットが出店し、街全体がイルミネーションに彩られていた。夕食までの少しのあいだ自由時間になって、ブルノの街をフラフラと歩き回ってみたよ。

▼オペラの前のオシャレなディナーPavillon

ステキなクリスマスセッティング

芸術のチェコはブルノだって例外じゃない! 最期の夜はオペラ鑑賞、の前にモダンなイタリアンレストランでディナー。オペラの前はアルコールNGがマナーとか。モダニズムあふれた盛りつけの料理たちに、ステキに飾り付けられたテーブルセッティング。これがクリスマスデートなら最高でしょうなぁ、などと妄想したよ。

▼ブルノの国立劇場でオペラ鑑賞

シャンデリアがよく見える5階席

幼少時代のモーツァルトも演奏したというブルノの国立劇場で、初めてオペラ鑑賞をしたよ! 演目は「カーチャと悪魔(The Devil and Kate)」というもの。カーチャとは女性の名前で、あまりに豪腕の過ぎるカーチャが悪魔に連れ去られ一度は地獄に落ちるもの、悪魔を持ってすらカーチャをもてあましこの世に戻すというコメディ作品。歌はチェコ語だが、ステージ上部に英語字幕も表示。でも、これを読まなくても十分内容は分かる。オペラというと中世のドレスに身を包んだ女性が声高らかに歌い上げる格式高いものを想像していたけれど、ダンスシーンも多く、初めてオペラを見たわたしでも楽しめる内容だった。

“存在しないバー”で最後の夜の乾杯と手紙

目を見張る1階のバーカウンター

明日の今頃は飛行機の中……ということで、今夜はチェコで過ごす最後の夜。当てもなく歩き回るお散歩もいいけれど、チェコ観光局日本局長のマルチナさんオススメのバーへいった。「存在しないバー(Bar, který neexistuje)」という何とも洒落た店名だ。メニューはたくさんあるけれど、今の気分や好きな味を店員さんに伝えるといい感じのカクテルが出てくる。たとえば「お腹がいっぱいなのでさっぱりしたものが飲みたい。でも、アルコールは強めで」というと「ベリーは好き?」なんて尋ねられて「大好き」と答えたら、たくさんのベリーをシェイクしたスムージーカクテルを運んできてくれる、といった具合だ。

わたしは最初、みんなと離れて座り、持ってきた道具を広げた。

旅の最終日に、友だちへ手紙を書くのわたしの習慣なのだ。

いつもいつも、旅の最後は疲れ切っていて、そのくせ伝えたいことがいっぱいあって、話はまとまらないしたくさんの人には書けない。だけど、それでも、出す。

プラハの郵便局で指さし買った切手を使って、これまで行ってきた観光地でちゃんとDMをもらってきて、書く。何を書いたかなんて(そして誰に書いたかなんて)実はほとんど覚えてない。でも「手紙を書く」って所作が好きで、それが人の手を伝っていつか届くってことが好きなんだ。今回のチェコの差し出し地は「存在しないバー」だけど届くかな。

手紙を書き終えてしまって、みんなのテーブルに戻る。

改めてドリンクを頼んで「最後の一杯」をみんなで掲げた。

 

いい?

「乾杯」はチェコ語で「ナーストラヴィー」だよ?

 

結局チェコ語はこれしか覚えなかったなぁ。

 

ほてった頬に12月の風が気持ちいい。

みんな酔っ払って、旅の疲れも相まってへろへろだけれど、この旅をやりきったという開放感と、もうすぐ終わるというさみしさに包まれていた。

取材で来ているのだから、記録をとるのは大切だ。だけど、我々はせっかくここに来ている。記録や情報はインターネットにあふれているし、調べれば分かるだろう。だけど、ブルノの人のおしゃべりなこととか、人気がなくなってもそこで輝き続けているイルミネーションのこととか、さらさらと気持ちがよい夜風のこととか、ここにいるからこそ感じられることがたくさんある。

だから、最後の夜だけは、ファインダーを覗くことを少しやめて、チェコで感じた心の風景に、意識を集中させてみるんだ。

Special Thanks:チェコ共和国観光局Linkトラベラーズ

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