3月だというのに南国の冬を舐めていて、夏服しか持って行かず凍えていたコヤナギユウです。
自主的に書いているレポート「沖縄・離島 青が特別な色になる旅」も2日目に突入。
さっそく西表島に乗り込み、目的はもちろん……マングローブの森、探検です!

小雨もパラつくあいにくの曇り空の中、石垣島の港からフェリーに乗り込み、揺られること45分ほど。
西表島に着きました。

西表島は「イリオモテヤマネコ」でも知られる国指定天然記念物などの固有種が多く生息している島で、
日本にある全マングローブの木の1/4がここに集まっている大自然いっぱいの島です。
(マップの緑が一部違う色になっているのは、サインペンが出なくなったからで深い意味はありません)
ここでカヌーを乗り回し、山道をトレッキングして大冒険してやろう……と勇んでいたのですが、冒頭の通りの荒れ模様。
聞けば、冬の西表は雨が多いらしい。
南国=晴天のイメージだったステレオタイプの私はお腹が冷える思いです。
そんなわけで、本来行きたい「上原港」へのフェリーが欠航してしまい、急遽「大原港」へ行くこと。
そこから路線バスに乗り換えて、カヌー&トレッキングに導いてくれるガイドさんと待ち合わせしています。

こんな感じ。
ツアーのお兄さんや、フェリーのチケット売り場のお兄さんが異口同音に言っていました。
「バスの運転手さんは、無愛想だけど気にしないで」
「港についてトイレに行きたいときは、バスの運転手さんに一声かければ待っててくれるよ」
「バスの運転手さんが怖いのは、みんなにだから、気にしないで」
もはやイリオモテヤマネコよりバスの運転手さんの方が語り種です。

フェリーは西表島の大原港に着きました。
しかし、私はお腹を壊しました。(たぶん薄着のせい)
ふみちゃんがひとまずバスに走り、私はトイレに走ります。
ふみちゃんがバスの運ちゃんに話します。

ふみちゃん「すみません! 友達がトイレに行ってるので待ってもらえませんか?」
運転手さん「あぁ!? 路線バスだから定刻で出るよ!」
な、なんとご無体な。
ふみちゃん「えっちょっと待ってください、ともだちに電話してみます!」
(呼び出し中……出ません)
運転手さん「俺は待たねぇよ。路線バスが遅れるわけにいかねぇだろ」
ふみちゃん「すいません、すいません! よ、呼んできます!」
フェリー乗り場のトイレに走っていくふみちゃん。
運転手さんはそんなふみちゃんの後ろ姿に。
パッパァーーー!
と、クラクションを鳴らします。
ふみちゃん(超こえぇ)
トイレに駆け込み直接声を掛けられ、私はようやく気が付きました。
しかしなおも少し遅れてトイレを出ると、フェリーのスタッフの人にも言われます。
「路線バスに乗りたい人、ダッシュ!」
バスは満員です。
みんな待ちくたびれています。
ピンチです。
私ひとりの浅はかな薄着のせいで、バスの出発が遅れています。
当然、バスの運転手さんも不機嫌です。
しかし、とくにとがめられることもなく「路線バスは時間厳守なんだよぉ~」と言われたくらいで乗車しました。
私は苦笑いしつつもしゃあしゃあと
「すんません、薄着でお腹壊しちゃって」と言いました。
西表島はほぼ一本道です。
フェリー近くには学校もあり、人里感ありますが、すぐに森だらけになります。
道路には飛び出し注意のならぬ「ネコ注意」の標識ばかり。
ネコ、とはもちろんイリオモテヤマネコのこと。
そんなにカジュアルに飛び出すのでしょうか。
水牛に乗れる「由布島」前のバス停で、たくさん人が降りて、席が空きました。
私は風景がよく見える一番前の席に座りました。
すると運転手さんは
「そうさ、一番前が一番景色がいい」
と話しかけてくれました。
ユウちゃん「運転手さんはイリオモテヤマネコ見たことありますか?」
運転手さん「あるよ~、週に1.2回は見る。」
ユウちゃん「やっぱり夜ですか?」
運転手さん「いや、完全に夜型ってわけでもないんだ。」
ユウちゃん「大きいですか?」
運転手さん「普通のネコとそんなに変らないよ」
ユウちゃん「じゃあ、どうやって山猫だって見分けるんですか?」
運転手さん「このへんの森じゃイエネコは生きていけないから、ネコが出たらヤマネコなんだ。あいつら警戒心が強くて人間には寄って来ないんだけど、この季節は子猫が独り立ちする時みたいでさ。ネコにも性格があるんだな。好奇心おう盛なやつとかは車に近づいてきちゃんだけど、かわいいのよ」
なんだ、運転手さんはとっても良い人っぽいです。
運転手さん「どっから来たんだ?」
ユウちゃん「東京です」
運転手さん「東京のどこだ」
ユウちゃん「世田谷区です」
運転手さん「世田谷のどこだ」
ユウちゃん「えーっと、マイナーなんで、あんまり知られてないかもしれませんけど……千歳烏山に住んでます」
運転手さん「おお、あのカンパチ越えたところか!」
ユウちゃん「そ、そうですそうです!」
運転手さん「俺は東京なら大体どこでも知ってんだ」
そこから運転手さんの身の上話しをいっぱい引き出して、すっかり仲良くなりました。
石垣島で、おいしいお刺身が頂ける「一魚一会」というお店も教えてもらいました。
バスを降り、おじさんに大きく手を振ります。
ユウちゃん「いやぁ、いいおじさんだったね」
ふみちゃん「あのおじさん、ユウちゃんの足、めっちゃ見てたよ」
そう、私は夏服しか持ってないのです。
この日は青いミニワンピースに生足でした。
私の足ぐらいで誰かと仲良くなれるなら、いくらでも出します。
……おなか壊しますけど。

誰かおじさんに会うことができたら「千歳烏山の女が連絡くれ」って言ってたと伝えてください。
“板橋の家の件で”って言えば、伝わると思います。
〈つづく〉


























