ESSAY

大阪と神戸はホントに近い。
出汁カレーおいしかった

SUCCESS!

神戸へ取材に行くついでに、大阪に立ち寄った。ちょうどやりとりしていたカメラ屋さんが、大阪だったから、ずっとオンラインで打ち合わせしていたけれど、直接話してみようと思ったからだ。

東京から新大阪まで、東海道新幹線で2時間半。そこから御堂筋線に乗って梅田で寄り道。大阪へ来るのは何度目かだけど、Creepy Nutsと梅田サイファーを好きになってからは初だったので、なんとなく例の歩道橋を歩いてみたくなったからだ。

関西のローカル線、多すぎ問題

それに、旅の本当の目的地は神戸だし、どうやら大阪と神戸は近いらしい。新大阪に戻って新幹線に乗り、新神戸へいってもいいけど、味気ない。検索すると梅田から、今回の目的地(王子公園駅)は阪急神戸線っていうローカル電車で40分ほどで着くみたいだから、そんなの、東京でいえば浅草と渋谷みたいな位置関係じゃないか。あるいは渋谷と横浜か? どれどれ、じゃあ梅田の駅はどこになるのかな……と調べてみると、多ッ。「大阪」「梅田」と名がつく駅多すぎる。しかも微妙に離れている。JR神戸線っていうのもあるのか。関西のローカル電車、多すぎていつもビビる。

まぁせっかくだし、用事のついでにおいしいものも食べよう。大阪といえばたこ焼きだ。

強く望んだ者にのみ、与えられるたこ焼き

すぐ下にのれん街があり、そこにネットで有名な「大阪で一番おいしいたこ焼き」があると聞いて、探してみた。土曜とはいえ夕方前だし、空いてるだろう。

甘かった。

「最後尾はこちらです〜」なんて高架下に案内されて、「ここからだいたい70分です〜」だって。欲しいものに食らいつく者にこそ与えられるたこ焼きなのだ。順番は譲るとしよう。

大阪といえばスパイスカレー

予定していた打ち合わせをこなし、空腹という最高の調味料を携え、神戸入りの前に腹ごしらえをしたい。大阪といえばスパイスカレーなのだ。特に、まだ東京では馴染みのない「出汁系カレー」を味わってみたかった。しかし、これもよくよく検索すると、ほとんどのスパイスカレー屋は、ランチを対象にした昼営業。14時には終わってしまう。こちとら、15時に新大阪について、打ち合わせが16時からですねん。

そこで、18時からバー営業するカレー屋に行くことにした。立地は少し遠回りになるけれど、大阪は都会なのだ。Googleマップがあればローカルバスも問題ない。地下鉄・本町駅から徒歩5分の「あきらカレー」を訪ねた。

オープン前に到着してしまったので、灯りがついていない。取材じゃないから、こんな写真でもいいのだ。入り口前に並ぶハイスツールにお行儀よく腰掛けて、開店を待つ。中に入ると1階はカウンターの立ち食いスタイル。サクッと食べて出ていきたい人にはぴったりだ。なによりソロでも行きやすい。

夜にもシメ用にちゃんとスパイスカレーがある。カレーに狙いを定め、先に注文をしてしまうことにした。

「出してもらうのはあとででいいんですけど、〝出汁ときのこのクリームカレー〟お願いできますか?」

「すみません、〝花椒チキンキーマ スパイス炒飯deオムライス 出汁ときのこのクリームカレー〟までで一品のメニュー名なんですが、それでいいですか?」

「なんと! それで!!!」

おつまみに2品。飲食店の取材もするけれど、自慢じゃないが小食なのだ。気になるメニューはたっくさんあるけれど、吟味して注文した。

生牡蠣スパイス醤油オイル和え。うまい
麻辣おでん3種。とびきり辛かったらどうしようと思ったが、全然大丈夫
お酒は日本酒に。おすすめマークがついていた「19 Riccio sognante -夢見るハリネズミ- 蒸し燗火入れ」

そして、いよいよ出汁系スパイスカレーだ。

君は炒飯なのかい、オムライスなのかい、どっちなんだい!

ヤー!

オムライスであればケチャップライスになるところを、スパイスをきかせた「炒飯」でやってきた。〝スパイスをきかせた炒飯〟というのも語弊がある。スパイシーというわけではなく、カルダモンやクローブなどのコクのある旨味が詰まっている、という感じだ。もしかしたらこれは、乗っかっているキーマ部分から来ているのかも知れない。

器にひたひたと波打つスープが、最初に希望した〝出汁ときのこのクリームカレー〟部分。白い。クリームカレー、白い。シチューでは、カレーとは……そんな雑念を振り払い、口に運ぶとそりゃおいしい。さらさらとしたカレーといえば、札幌のスープカレーが有名だけど、あれはあくまで「ふつうのカレー」。カレーの本場、インドだって北部と南部とでは全然違っているという。習慣や風土が違えば、食材や気温も変わるため、おいしいものも変わるのは当然。同じ考えを、このニッポンに運び込んだら、フォンドボーを出汁に変え、チャツネの代わりに魚介をぶっ込むのもこれまた至極当然なのだ。

残念ながら、この複雑の味わいを、詳しく紐解けるほど繊細な舌じゃないし、また、野暮でもない。

とても、たいへん、おいしかった。

路線バスで阪急大阪梅田駅に戻り、コインロッカーに入れておいた荷物をピックアップ。今年で4回目になる神戸取材が明日から始まる。

今回は各記事数が多いので、訪ねる場所が増えた。合間に別の仕事をする予定もあるので、滞在自体を少し長めに取ることにした。おかげで、血眼にならずに済む。

記事にはならないようなことも、ブログに書いたらいいよね、たとえばほら、カレーのこととか。

そんなことを思って久しぶりに、気軽な気持ちで日記を書いたよ。

また記事には入れられなかった楽しかったことを、たまにはブログに投稿してみるね。サムネとタイトルが全然合ってないけど、気にするな。