ハッピーカナダデー!
この記事を公開した本日7月1日は、カナダの建国記念日。1867年に憲法が制定され、イギリスから独立しました。それにちなんで7月1日は祝日とし、カナダ各地でフェスティバルが開かれます。
今日はカナダデーを祝して、コヤナギが実際に訪れた、おすすめのカナダ9都市を紹介させて下さい!
これだけは覚えて帰って欲しい。3大「それカナダですから」!
正直、カナダに対してどんなイメージを持っているだろうか。
赤いカエデの国旗、メープルシロップ……なんて出てくる人の方がまれで、カナダに対して、なんのイメージも持っていない方も少なくないのでは。
「カナダってどんなところなの?」と聞かれると、わたしは「食事がおいしいアメリカ」あるいは「感じの良いイギリス」あるいは「気取ってないフランス」などと答えている。
いや、本当はぜったいみんなカナダを知っているはず。あんな絶景や名作のモデルは、実はカナダなんですよ。というわけで、これだけは覚えて帰って欲しい。3大「それカナダですから」をご紹介します!
世界一美しい、赤毛のアンの島「プリンスエドワード島」
コヤナギが初めて行ったカナダがこのプリンスエドワード島。東カナダのセントローレンス湾にある「波間に浮かぶゆりかご」とよばれ、赤土が印象的な素朴な島だ。日本人にとっては「赤毛のアン」の島として親しまれているけれど、小説に出てくる「緑の霧妻屋根の家」や「恋人達の小路」、詩の朗読をしたホテルのモデル「ダルベイ・バイ・ザ・シー」もあり、アンは実在していたのではと錯覚するほど。
それに、最近では肥沃な赤土で育った野菜や海産物などの食材を目当てに、世界中のシェフが集まる美食の島としても有名に。特にここで獲れる牡蠣は昔から有名で、ニューヨークのオイスターバーではブランド品として扱われる。農と食が楽しめるリゾートホテルや、小さな農家を手伝うファームステイは、どちらもかけがえのない体験になった。
でも、プリンスエドワード島の良いところをたった一つに絞るならば、やっぱりあの、小さなきらめきが集まる喜びだろう。
まったくアン、同意しかないよ。
オーロラ首都宣言! ブレイクアップに刮目せよ「イエローナイフ」
カナダ西部の内陸にある、ノースウェスト準州「イエローナイフ」はもともと鉱山の街だ。地名の由来は金を採掘していた人の道具といわれているが、現在は主にダイヤモンドを採っているらしい。でも、この地をもっとも有名にしたのは「オーロラ」だろう。
これまで、オーロラというとアラスカや北欧のイメージが強かったが、それはプロモーションのたまもので、では実際に「いいオーロラが見えるのはどこか」という話になれば、イエローナイフに軍配が上がる。北欧の観光も大変魅力的だが「オーロラガチ勢ならイエローナイフ」と覚えておいて欲しい。
オーロラの観測条件はシンプルに3つ。
オーロラが発生する「オーロラベルト」に近いことと、暗いこと、それに気象条件に恵まれていることだ。
オーロラ観光を唱う場所が、北緯60〜65度オーロラベルトに近いことは必須条件だが、北緯62度27分に位置するイエローナイフは「近い」どころか「直下」。光が最大値に膨れ上がる現象「ブレークアップ(オーロラ爆発)」が頭上で起こると、空から聖なる王冠が降りてくる。
オーロラ観測といえば寒さがつきものだが、発生条件に寒さは関係ない。ただ、高北緯度なだけに夏場は日が沈まず、冬場の観測になってしまうだけだ。極北の冬は-30度を下回り、確かに尋常ではないほど寒い。だけど、いやだからこそ張り詰めた空気と薄ぼんやりとした陽の中でしか見えない、何にも代えがたい美しさもある。
さらに注目したい気象条件は「曇らないこと」。海から遠い内陸に位置するイエローナイフは雲が発生しにくく、冬季の晴天率は90%以上と高い。これだけの好条件をそろえ、2013年に「オーロラ首都(Aurora capital of The World)」を声高らかに宣言。その式典にはマスコミや旅行代理店と、コヤナギも詰めかけ、世界中の絶景好きにとって「いつか行ってみたい場所」になったのだ。
冒険のプロもここに集結。アザラシの赤ちゃんに出会える「マドレーヌ諸島」
そこにしかいないのだから、行くしかないのだ。
冒頭に紹介したプリンスエドワード島の北上に、6つの砂州を含めた12の島からなる「マドレーヌ諸島」がある。長いビーチが特徴的で、海岸沿いにはアーティスティックな風景に惹かれた芸術家達のアトリエが連なり、避暑地として過ごす人も多い。
でも、マドレーヌ諸島といえば「タテゴトアザラシの赤ちゃん」だ。
毎年2月下旬から3月中旬頃の20日間、セントローレンス湾の流氷の上にタテゴトアザラシが繁殖のために集まる。ここへのアクセス方法はヘリコプターだけ。それを世界で唯一運行しているのがマドレーヌ諸島のホテルが「シャトー・マドリノ」だ。敷地には4台のヘリコプターを備え、専属パイロットが待機。
島では……というか世界中でタテゴトアザラシの繁殖地ヘリコプターを飛ばせるのは「シャトー・マドリノ」以外ないため、あの白いふわふわに会いたければここに来るしかないのだ。
それは、世界最高峰のネイチャーカメラマンでも同じこと。新婚旅行のカップルとナショナルジオグラフィックスのカメラマンがひざをつき合わせて同じヘリコプターに乗り混む。
気温は天候にかなり左右されるが、わたしが行ったときは晴天に恵まれ暑いくらいだった。また、アザラシの赤ちゃんに出会えるのも、もちろん100%じゃない。流氷の大きさや天候に左右される。人間の都合で物事が進まないのも、自然の良いところだと思ってる。
自然派も都会派も注目、想像を超えてくるカナダ
カナダの基本情報をおさらいしておこう。
場所はアメリカ大陸の北部。国土面積はロシアに次いで世界2位の広さで、国土における国民ひとりあたりの人口密度は世界で一番低いといわれている。でも実際は、人口の約75%はアメリカとの国境近くの都市部に暮らしているそうだ。日本からの距離は西カナダのバンクーバーまで約9時間、東カナダのトロントまで13時間。広大なカナダは国内に時差があり、6つの時間帯がある。
公用語は英語とフランス語で、公的な標識には必ず二つの言語が並列な大きさで印されている。世界で初めてカナダに到達したのはヴァイキングといわれているけれど、歴史としてカナダを発見したのは1534年。大航海時代にフランスの冒険家ジャック・カルティエが、ヨーロッパから「黄金の国」アジアへの西回りの新航路を探しているときに発見した。「カナダ」の語源は先住民の言葉「カナタ(村)」といわれている。3度の上陸のあと翌1535年、フランスの植民地「ヌーベルフランス」として開拓され、先住民へのキリスト教布教などで街を広げた。しかし1759年、イギリスとの戦いに敗北。しばらくはイギリスの統治下にあったが1867年7月1日に自治領として独立。これが今日の「カナダデー」なのだ。
だから、カナダの魅力は広すぎる国土の大自然と、人々の多様性だと思ってるので、ぜひこの5都市を訪れて確かめて欲しい。
規格外の大スケール! ユーコン準州の大自然
西カナダに位置するユーコン準州は、かつてゴールドラッシュで沸いた場所だ。世界が金脈を求め沸いていた1896年、ドーソンシティ近くのクロンダイク川で魚釣りをしていた坑夫が砂金を発見、そこから「クロンダイク・ゴールドラッシュ」が始まった。それを求めてやって来た人は100万人ともいわれているが、実際に到達できた人は4〜5万人ほど。ツンドラ気候と大自然の厳しさがうかがい知れる。
州都のホワイトホースはドーソンシティとユーコン川でつながる玄関口。(クロンダイク川はドーソンシティで分岐するユーコン川の支流)
「水曜どうでしょう」で知られたユーコン川でのカヌーが有名だけど、人間の目のパノラマでは理解を超えるほどの、雄大な自然の魅力がそこにある。
ユーコン川の難所といわれている「ファイヴ・フィンガー・ラピッズ」を高台から見たとき、そのスケールの大きさに自分が実在しているのか分からなくなって、思わず自分の頬を触った。
ちっぽけな人間は、大自然には太刀打ちできない。だけど、少しの知恵があれば、その偉大さに触れることはできる。健康なうちに再訪し、ダイナミックな土地に訪れる四季を見守ってみたい。ちなみにオーロラ観測も楽しめるぞ。
多様性の先進都市。トロント、バンクーバー、モントリオール
入植から始まったカナダは移民の国だ。さらにLGBT先進国としても知られ、カナダは世界で4番目に同性婚を合法化。そのせいか、人々にも個人を尊重する意識が高く、多様性が保たれているようだ。
トロント:国内でもっとも人口が多い、東カナダの都市トロントは「モザイクの街」という。その由来は、さまざまな文化が隣り合わせにあって、モザイクタイルのように共存しているから。
アメリカのニューヨークも同様に、多様性があるとして「サラダボウルの街」とよばれるが、これは混ざり合うという意味合いだ。対してトロントは、互いの文化を尊重しあうといった趣が強い。トロントを歩くだけで世界一周ができる、とトロントニアン(トロントっ子)は笑う。
バンクーバー:日本からいちばん近いカナダとして知られる西の大都市、バンクーバー。陸海空の玄関口で、食も自然も身近に楽しめる。たくさんのヨットと水上機が並ぶコール・ハーバーにはウォーターフロント駅があり、VIA鉄道がトロントに向かって大陸を横断する。中心部は起伏のある街並みにガラス張りの先進的なビルやコンドミニアムが連なるが、橋を一つ越えたキツラノではおしゃれでのんびりとした空気が流れていた。余談だが、バンクーバーではお寿司(特にうに)と飲茶がおいしいのでぜひ味わって欲しい。
モントオール:カナダを巡っているとき、なるべくハイセンスなカナダ製のお土産を探しているのだが、気の利いたセンスの良いものを見つけると、だいたい「made in Montreal」と書いてあってずっと気になっていた場所だ。公用語が英語とフランス語というカナダにおいで、ここの公用語はフランス語のみ。なんだか気取った場所なのではと身構えていたが、モントリアラー(モントリオールっ子)はとてもおおらかで「生きる喜び」をモットーにしている過ごしやすい場所だった。1967年にあった万博の名残で前衛的な建築も多く、美術館も多彩。名物はベーグルとスモークミートで気がつけば、カナダでいちばん多く訪れ長く滞在した場所になった。
好きになったら行くしかない。カナダのルーツ「ケベックシティ」
「カナダの起源」と称される古都ケベックシティ。城壁に囲まれた旧市街はヌーベルフランス時代の面影を残す世界遺産都市。フランス式の屋根を乗せた石造りの建物が並び、中世の趣を残している。また、セントローレンス川を見渡せる高台の立地を活かした要塞都市でもあり、現在もカナダ陸軍が置かれている。
この街に惹かれたのは、川沿いに建つ城のような建物をこの目で見てみたかったからだ。仕事でモントリオールまで来たので、レンタカーを借りてこの街までやって来た。歴史的背景は何も知らず、ただこの美しさを歩いてみたい一心で。ケベックシティが「カナダの起源」といわれるのは、ここでフランス軍がイギリス軍に負けたからだ。1759年、イギリス軍はセントローレンス川から街の東に広がるアブラハム高原へ上陸。急勾配の悪路をものともしない奇襲攻撃でフランス軍は大敗。敗戦後も人口の9割を占めたフランス系移民はそのまま残り、カナダはイギリス統治下となって現在の姿がある。カナダ各地を旅してからケベックシティを訪れたことで、赤毛のアンの暮らしや、ゴールドラッシュ時代の話がここにつながった、という感覚になった。
フランスの元で花開き、イギリスの元で育ってきたケベックシティは二つの文化がうまく混ざり合っていて、メープルシロップ農家小屋を模した「シュガーシャック」料理も甘塩っぱくておいしいし、気取らずいただけるフランス料理もとにかくおいしい。
当然ながら、カナダの魅力はまだまだある
以上が、わたしが訪れた中で紹介したい9都市になるけれど、もちろん、カナダの魅力はここに収まらない。だって、もっとも有名な「カナディアンロッキー」とか「ナイアガラの滝」とか、まだ行ってないですもの!
でも、次に行ってみたいと気になっているのは、カナダ最東端の「ニューファンドランド・ラブラドール州」! 州名が示すようにフレンドリーな大型犬ラブラドールとそのその祖先ニューファンランド犬の発祥地で、グロス・モーン国立公園の雄大なこと……。また、ニューファンランド島もカラフルな建物が並ぶかわいらしい漁師街で、沖合にはタイタニック号も眠っているという情報量の多さ。イラスト地図でもラブコールの意味を込めてピンクに塗り分けてみたけど、行ってないから写真はなし。そのかわり、観光局の公式動画を観て欲しい。
また、先日公開されたエアカナダの機内安全ビデオがカナダ各地で撮影されており、カナダ行きたい気持ちが募る。(冒頭に出てくる絶景がグロス・モーン国立公園)
今回この記事をまとめていて、10年分の自分の写真を見返すことになったんだけど、初期のつたなさが恥ずかしくて何度筆が止まったことか。特に西カナダはしばらく行ってないので、撮り直したい。夢も希望もいっぱいだ。
ああ、この世にカナダがあって良かった。ハッピーカナダデー!
カナダ訪問履歴一覧
自分用のメモとして、カナダ訪問の履歴の一覧を載せておく。
2011年6月30日
ラブレターフロムカナダ! 赤毛のアンの旅
トロント→モントリオール→PEI(6泊7日)→トロント(2泊3日)
2013年8月30日
カナダでオーロラハント ユーコン準州を北上せよ
バンクーバー(1泊)→ホワイトホース(1泊)→ドーソンシティ(3泊)→ホワイトホース/アラスカ・スキャグウェイ(1泊)
2013年12月5日
イエローナイフに行く理由 オーロラ首都宣言!
バンクーバー(1泊)→イエローナイフ(4泊)
2017年10月
トロント経由便でアイスランドへ。エアカナダのセールで往復10万円だった
2018年6月5日(13日間)
6月のプリンスエドワード島&ケベック州(&Travel寄稿2本)
モントリオール→PEI(3泊プレス&3泊エアビー)→ケベックシティ(3泊)→モントリオール(4泊)
2019年9月28日
忘れない旅(&Travel寄稿3本)
ケベックシティ(2泊)→モントリオール(2泊)→ローレンシャン(1泊)→イースタンタウンシップ(1泊)
2020年2月28日
流氷の上の、タテゴトアザラシの赤ちゃん(&Travel寄稿1本)
モントリオール(2泊)→マーメイド諸島(3泊)→ケベックシティ(1泊)
(2021年7月1日現在)