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ケベックシティの象徴、シャトー・フロンテナック

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カナダの古都、ケベックシティ。探検家のサミュエル・ド・シャンプランが1608年に木造の砦「アビタシオン」を築いたことから、この街の歴史始まる。

河口の川幅は100Kmと海のように広く流れも強いセントローレンス川が、ここでは10Km程度と狭まり、オレアルン島と蛇行のおかげで急流も緩まる。カナダ発展の砦として、毛皮貿易の窓口としてケベックシティは栄えていった。

川辺と崖上に築かれた旧市街の美しさがケベックシティの魅力で、「ケベックシティ」の写真といえば、だいたいロウワータウンの「首折り階段」か、この対岸からの眺めではないだろうか。

その中でもひときわ、中央で鎮座する象徴的建物が、ホテル「シャトー・フロンテナック」だ。

東京ディスニーシーにある「タワー・オブ・テラー」のモデルだというネットの噂もあるが、定かではない。いかにも歴史がありそうなホテルは、もともとお城だったのだろうかと想像してしまうが、実はフランス式の古城をイメージして建てられた正真正銘のホテルだ。

建築は1893年。カナダ横断の鉄道開通に合わせ、建築された。

古城ではないが歴史はある。

正面玄関向かって右手に青銅のレリーフが埋め込まれ、1924年の出来事が記されている。時は第二次世界大戦。ここでチャーチルとルーズベルトが会談を行ったと印されている。終戦に向けた決定が行われたといわれ、それはつまり、ナガサキ・ヒロシマのことだ。

現在も世界の要人が泊まる特別なホテルだ。

館内は増築に増築を重ね迷路のように巨大。セレブだけしか泊まれないかといえばそんなことはなく、一般的な客室なら時期によって3万程度でも宿泊可能。立地は最高なので、滞在時間が短いならばここに泊まってしまうのがコスパがいいかもしれない。エントランスやバーは宿泊客以外も見学・利用可能なので、ケベック観光に来たならば覗いてみたい場所だろう。

ただし、要人が宿泊しているときは見学できず、また2019年より外装改修工事に入ってしまった。旅にタイミングはつきもの。もしも思い通りのシャトーフロントナックの姿が見られなかったようならば、「もう一度来い」というメッセージだ。

中央棟の改修工事を隠すアングルで撮ってみた

information

フェアモント・ル・シャトー・フロンテナック(Fairmont Le Château Frontenac)
https://www.fairmont.jp/frontenac-quebec/
1 Rue des Carrières, Québec, QC G1R 4P5 カナダ

※記事の内容は取材当時のものです(2019年10月)

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