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雪のように白くなる幻想的な「雪さらし」という漂白方法には科学的根拠があった

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SUCCESS!

「雪のように白い肌」とはよくいうが、雪は本当に白くさせる力があることをご存じだろうか。

それは、残念ながら美容ではなく、伝統的な麻の布に働く効果なワケだけど。

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった 。」の書き出しで知られる、川端康成著の「雪国」に、こんな下りが登場する。

雪のなかで糸をつくり 、雪のなかで織り 、雪の水に洗い 、雪の上に晒す 。績み始めてから織り終るまで 、すべては雪のなかであった 。雪ありて縮あり 、雪は縮の親というべしと 、昔の人も本に書いている 。「雪国」(新潮社文庫)より

この「雪のなかで糸をつくり 、雪のなかで織り 、雪の水に洗い」は先に書いた織物のことで、「雪の上に晒す」がこの“雪さらし”である。

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雪国観光圏の紡ぎ方(閉じる)

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いまも「雪さらし」を続ける中田屋織物

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この地方で織られている麻織物「越後上布(えちごじょうふ)」は、国の重要無形文化財とユネスコの無形文化遺産に指定されている。

技法は指定条項によって決められており、これを守らなければ「越後上布」とはいえないのだ。

1. すべて苧麻(ちょま)を手積みした本製糸を使用する事
2. 絣模様をつける場合は手括りによる事居座機で織る事
3. 皺(シボ)取りをする場合は湯揉み、足踏による事
4. さらしは雪晒しによる事

無形文化遺産として残すべき雪さらし。だけど、いまもこれを行っているのは中田屋織物のほか、あともう1軒しかないという。

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雪さらしは3月下旬の雪解けの時期にしか行うことが出来ない。

降雪が落ち着いてよく晴れた午前中に、雪の上へ織物を晒すのだ。すると、太陽の熱で溶ける雪からオゾン(O3)が発生し自己分解(O3からO2+Oになる)を行う。このときに酸化漂白作用が働くらしい。

午後には布を取り込んで水洗いし、翌日にまた晒す。

これを天気と相談しながら一週間ほど行い、「雪さらし」は完了する。

「白越」「白布」とも呼ばれ、宝物として扱われていた越後上布の美しさは、雪によって育まれたのだ。

雪さらしの漂白効果が科学的に分かったのは最近のことだろう。

最初はきっと、美しく透ける雪を見て、それにあやかり捧げるような気持ちで雪に晒したのではないか、などと妄想する。

それが叶って上布が白く透けたときは、なんともいえない八百万の存在を感じずにはいられなかっただろうな。

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雪さらしはあらゆる布地に適した漂白方法だ。

越後上布をつくるときだけでなく、夏に着た着物をほどいて反物に戻し、ここに送って雪さらしで洗ってもらってからまた夏を楽しむ。

いまでも全国から大切にされた生地たちがここに集まり、白い雪に寝そべっている。

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訪れたのは3月中旬。

魚野川のほとりで越後の山々に囲まれて、まぶしくて目も開けていられないような白銀のもと、大切にされている反物たちの喜びが伝わるような暖かさだった。

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中田屋織物でも通常的に見学はやっていない。

けれど、ある程度人数がまとまれば視察の受け入れはしているようなので、興味があれば代理店である「雪国観光圏」に相談してみるといい。季節は雪解けの3月中旬から下旬まで。

THERMOSのCMに登場

2020年11月から、この記事がよく見られるようになってどうしたのかと思ったら、THERMOSのCMに中田屋織物の中島さんが紹介されています。

わたしのブログでは、越後上布の織物についてはこちらの記事で「酒井織物」さんを紹介しています。宝物として献上された最高級の平織りもの「越後上布」は1000万円をくだらないと言います。

Special Thanks

この取材は一般社団法人プレスマンユニオン主催の雪国観光圏プレスツアーで訪れ、交通・宿泊・飲食費をご負担いただきました。記事の監修・編集は受けておらず、金銭は発生しておりません。感想はコヤナギ自身の主観によるものです。

また執筆依頼もないため、自主的に記事化したものであり、PR記事ではありません。

取材にご協力いただいた中田屋織物様、ありがとうございました。

BOOKカウンター

最後まで読んでくれてありがとうございました!

この記事は2000文字ありました。
書籍にするとおよそ2ページ分です!
コヤナギの記事は写真もいっぱいあるから、本当に本だったら倍以上のページを読んでると思う。

雑誌みたいに800文字くらいでまとめようと思ってるんだけど、文字数制限のないブログに甘えています。

もしも記事がおもしろい・お役に立ったら、シェアやフォローをしていただけると、とっても励みになります!

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