カナダ観光局さん「オーロラ王国カナダ」のブロガー観光大使になって、2013年12月5日から5泊6日でカナダはイエローナイフのオーロラをハントして来ました!
いよいよイエローナイフ入り……のその前に、知ると100倍楽しい基礎知識。
オーロラって……なんなの!?
「一生に一度は見てみたい」「夜空のカーテン」「ご先祖さまの魂のダンス」「戦争の前触れ」「口笛を吹くと現れる」などなど。
オーロラにまつわる想いや言い伝えは沢山あるけれど、オーロラって実際なんなんでしょ。
知ればもっとオーロラが楽しめる基礎知識と、オーロラのひみつを、オーロラ研究の第一人者・上出洋介先生の著書「オーロラ 宇宙の渚をさぐる (角川選書)」を中心に紹介するよ!
※ただし解り易くするために私がかなりシンプルに書いてしまってます。くわしくは上出先生の著書をチェックだよ!
「オーロラってなに?」
この記事を読めばこの問いに答えられるかも?
ふしぎ1
オーロラはどこからやってきた?
「太陽から」
太陽活動によって「太陽風」というプラズマエネルギーが放出されているんだけど、地球にももちろん飛んで来てる。
このエネルギーが地球の“夜側”にも吹き込んで溜まり(イラストの[ 1 ]参照)、地球の大気と衝突して光るそうです。
……簡単に書くと。
だから太陽エネルギーが活発だと、オーロラも活発で「オーロラの当たり年!」とか言うのは、太陽活動を観測して言っているわけだね。
ふしぎ2
オーロラはどこでも見れるの?
「統計的に一番見られるのは、地磁気緯度65~70度地帯」
オーロラが太陽エネルギーによって光ることは分ったけれど、統計的には「地磁気緯度」65~70度地帯とのこと。
「地磁気緯度」とは、地図で使われている一般的な緯度(地理緯度)とは微妙にズレたもの。(イラストの[ 2 ]参照)
地球の自転を中心といた地軸をベースに記された地理緯度に対し、「地磁気緯度」は地球の磁力をベースに記されている。
地球には大きな棒磁石が入っていることは、なんとなくガッ今日で習った気がすると思うんだけど、その棒磁石は地球の軸とは少しズレていて、ナナメに入っているので、こんな風に差が生まれているみたいだよ。
オーロラ研究が始まって、様々な方法をオーロラを観測した結果、どうやらこの「地磁気緯度」65~70度地帯でよくオーロラが観測されていることが分って、その地域帯のことを「オーロラベルト」「オーロラオベール(楕円)」「オーロラ銀座」と呼ぶみたいだよ。
ふしぎ3
オーロラはどこに出てるの?
「地上100~500Kmくらい!」
これも、オーロラ研究が進んだお陰で正確に観測できるように!
“地上100~500Kmくらい!”……と言われても、それって高いの? 低いの?
イラストの[ 3 ]にも書いたけれど、地上10Kmが国際線のジェット機が飛んでいるところで(もう生身の人間は居られないね!)、よく聞く自然を守っている地球の膜「オゾン層」があるのが20~30Km、宇宙船こと国際宇宙ステーションがあるのが硬度400Kmといわれているから……オーロラが出ているのはギリギリ地球? それとも宇宙? という際どいところ。
「ジオスペース」と呼ばれているらしいのだけど、そこを上出洋介先生は「宇宙の渚」と呼んでおられるよ。詩人だね。
オーロラの基本的なことが分ったところで、いよいよ秘密に迫ってみます……!
こんな問いに答えがあること自体に震えるんですが(笑)、美しい自然現象の代表格と言えば「虹」。
ここまでこのブログを読んでくれたオーロラミニ博士のみなさんなら、虹とオーロラは出ているところも理由も全然違うことはもうお分かりでしょう。
虹は待機中の水分に太陽光が反射して光る自然現象。よく7色だと言われるけれど、これは国ごとに違っていて、よく虹を観察するとその“7色”の境目も微妙に色が違っていて、数字で言うのは難しそう。
だから虹の数は、科学的にも「無限」と言えるらしいんです。
対してプラズマが大気と衝突して光るオーロラは、酸素元素とぶつかると白っぽいグリーンや赤に、窒素分子だと赤や青、その窒素分子が発光するとあざやかなピンクや紫色になることは分っているそうです。
また、高度100Kmくらいが一番明るく光るそうです。
というわけで、ではその赤・青・ピンク・紫を駆使ししたオーロラは、いくつの色数なのかというと……虹のように連続した形状で現れるものでないため「200色くらい」と言われているそうです。
上出先生は著書で『「7色に輝くオーロラ」と表現する場合がありますが、それは科学的には間違いです」』と書かれていて、笑いました。
ひみつ2
オーロラは触ったら熱い?
「その温度は500℃、だけど“寒い”」
上出先生が幼少のころ、3日間悩んだ謎だそうです。
オーロラはプラズマエネルギーと地球大気の発光なので、電気がビリビリーと走って光ってるわけですが、その温度はなんと500℃!
ケーキを焼くオーブンだって、230℃がせいぜいなのに、極北の空を舞うオーロラが500℃だなんて想像ができない!
けど、安心(?)してください。500℃で発光していても「寒い」そうです。
それはなぜか。
上出少年と一緒に3日ほど考えよう!(笑)
ひみつ3
オーロラはなぜ動く?
「そもそも動いてない」
夜空のカーテンと形容されたり、カーテン状でなくても弱いオーロラだってモヤモヤと雲のように現れて、「オーロラ爆発」ともなれば、空中を大きく右へ左へ激しく動いているオーロラ。
……がそもそも本当は動いてない!?
もう、ゼンッゼン腑に落ちないんだけど、科学的な説明は下記です。
「電光掲示板と同じ」
つまり、私たちは発光してる部分だけを見てオーロラだと思っているけれど、実は発光していない部分にも太陽エネルギーは充満していて、見えないオーロラが存在していると。
オーロラと言うカーテンが動いているんじゃなく、オーロラがカーテンに見えるように光が移動している、ということらしい。
なんと!
ひみつ4
人工的にオーロラは作れる?
「インドでオーロラ実験を行い、驚くべき形に!」
なんと、科学はもう人工オーロラ実験まで進んでいたそうです。
オーロラがカーテン状になるのは、宇宙から飛び込んで来た電気を帯びた粒子が、磁力線に沿って降りてくるからで、もし赤道直下でオーロラが起こってもカーテン状にはならないとのこと。
ドイツが行ったインドでのオーロラ実験はなんとどら焼きの断面図のような円盤型に!
ひみつ5
オーロラってなに?
「それが、まだ解らないことだらけ!」
オーロラの成分や光る理由、人工オーロラが創り出せてもオーロラについての謎は深まるばかりだそうです。
例えば、太陽エネルギーはどこでどう曲がって地球の夜側へ来るのか、なぜオーロラ爆発が起こるのか、動きのメカニズムは……などなど。
そもそも、天気予報みたいに「今夜オーロラが出るか」ってことも見通せないとのこと。
(直前の太陽活動から、これからのオーロラ活動を予測することは出来るけど、明日はレベル5のオーロラが出るでしょう、みたいなことは分らない)
そもそも現在、オーロラだけを研究している人はいないそうです。
それは、オーロラの元が太陽と地球であることからも分るように、オーロラのことを調べていくと、どうしても太陽・宇宙を調べることになるから。
先日、映画「ゼログラビティ」を見たけれど、つくづく地球って不思議。
重力があるのは有り難いけど、宇宙という得体の知れない空間(かどうかすらも)のなかに、太陽の力でギリギリたゆたっているだけなんだもの。
地球にいると外の宇宙は遠い関係のないことのように思えるけれど、宇宙の目線から考えると、地球はちょっと大きい宇宙船でしかなくて、大気や重力のバランスがちょっとでも壊れたら人間なんて生きていけない。
そんな私たちが生きられる「地球」と、生きられない「宇宙」の間に舞うのが「オーロラ」なんだと思うと……オーロラが密かにキャッチしてる宇宙のメッセージをなんだか見極めたくなってくる。
オーロラ観光をするのは日本人だけっていう常識もなんだか変りつつあるみたい。
イエローナイフにも中国や韓国の方がたくさんいて、でもやっぱりアジア人だけ、と思ったら、ドイツやオーストラリア、ニュージーランドでも盛んになってきているそう。
なぜ日本だけが先んじて「オーロラブーム」になったのか。
なんとなーく気になっていたけど、その理由が、今回のイエローナイフ旅で明らかに!!
理由があった、明確な!(と、私は確信した)
そんなわけで、次回はやっとこ、“世界オーロラ首都”のイエローナイフ突入です。
初日から……というか私が滞在した4夜とも毎日オーロラ見れました!
オーロラ写真の撮り方も、解説するね!
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オーロラ王国 カナダ ~地球からオーロラを授けられた国~ | Keep Exploring | カナダ観光局オフィシャルサイト
JAXA|太陽のオーロラが地球のオーロラをつくる 上出洋介博士 | 日本オーロラブームの発起人
Yuichi Takasaka Photography | 私のガイドをしてくださったオーロラ写真家で日本のオーロラブームの立役者
日曜アーティスト TOMAKI | もうひとりのカナダ・オーロラ王国ブロガー観光大使
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最後まで読んでくれてありがとうございました!
この記事は4000文字ありました。
書籍にするとおよそ6ページ分です!
コヤナギの記事は写真もいっぱいあるから、本当に本だったら倍以上のページを読んでると思う。
「活字離れ」とかいわれるけどさ、けっこう読めてるよね。
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