ESSAY, WORKS

リトルプレス「答辞 〜何者かになりたかった女の子たちの15年後〜」

SUCCESS!

「文学フリマ東京40」にて、書籍「答辞 〜何者かになりたかった女の子たちの15年後〜」(東京ナイロンガールズ著)を販売します。

いなくなったわけじゃない

何者かになりたいとあがいていた若手クリエイター集団の現在に迫るリアリティエッセイ集。巻頭カラーにBefore&After写真と26人へアンケートに加え、ヌード写真撮影のいきさつ漫画、AV監督で文筆家の二村ヒトシさんとの対談等を収録。

 

成長したヒナがやがて、
窮屈でありながら温かな巣を後にするように、
先輩たちの〈女の子〉のご卒業を
心よりお祝い申し上げます。

いま先輩方との思い出を振り返ってみると、
果たしてお手本にしていいのか、
それとも反面教師としたほうがいいのかの迷いがあります。

青春を満喫しているようにみえて、
実はキラキラとした体面を保っている
だけのように見えました。

仕事が順調にいっているような顔をしながら、
本当はアルバイトをしていることも知っています。

プライベートの話をすると、
年長者ということでいつも
アドバイスをしてくださりましたが、
一方で先輩方とて一方で先輩方とて恋人の話になると、
出てくる話などDV彼氏に無職無気力男、浮気者などなど
「そんな男とは別れたほうがいいのでは?」という
お相手ばかりで、その道の後を続くであろう
わたしたちはいつも首を傾げておりました。

かくいうわたしたちも、先のことは想像できません。
いえ、したくありません。

20代はもちろん、
30代も世の中では〈若い女〉としてみなされるようです。
それは先輩方も嫌というほどにご存知の通りだと思います。

それはそれで歯痒いこと、つらいこともあります。
が、得すること、下駄を履かせてもらえることも、
確かです。

それがなくなった頃、わたしたちはどうなるのか。

いつまで自らの才能を信じ続けられるのか。
創作意欲を尽さかずにいられるのか。
不確かな未来を思って正気を保ち続けられるのか。

わたしはわたしを信じ続けられるのでしょうか。

この巣のなかで、
同じヒナたちといつか巣立つ日を夢見ながらも、
巣立ったその後の世界に、いつも思いを巡らせています。

不安と恐れ、そして少しの軽蔑に満ちた
送りの言葉となってしまいましたが、
先輩方の幸せと一層のご活躍を祈念して、
在校生代表の送辞とさせていただきます。

令和7年5月11日
〈女の子 -かつてのわたしたち-〉在校生 代表

プロローグ「送辞」より

何者かになりたいとあがいていた若手クリエイター集団の現在に迫るリアリティエッセイ集。

かつて「スカッとする。女の子の嘘と本音」をテーマにし、当事者たちが発信しているウェブマガジンがあった。 名前を「東京ナイロンガールズ」という。あれから15年あまり、あの女の子たちは、いまもこの時代に生き続けている。 ワナビーだった女の子たちが、その後どうしているのかリアルに振り返る。何者かになりたかった女の子のその先へ。

答辞 〜何者かになりたかった女の子たちの15年後〜

第一刷:2025年5月11日、B6、P120、表紙6色刷り+巻頭カラー 2,000円