2017
03.12
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国立新美術館開館10周年・チェコ文化年事業「ミュシャ展」に行ってきた!

REPORT, 冬こそチェコへ行こう!


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わー、時間空いちゃった。ひさしぶり〜!

いちおう、イラストレーターでグラフィックデザイナーでもあるコヤナギユウだよ。

 

2017年3月7日、メディア向けの内覧会のため六本木にある国立新美術館に行ってきたんだ。

 

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庭には現在5月22日まで開催中の草間彌生「わが永遠の魂」関連か水玉の幹。

 

今日はチェコを代表する画家「アルフォント・ミュシャ」ことチェコ語読みで「ムハ」の企画展「ミュシャ展」を見に来たよ。

 

その注目度の高さはレセプションイベントからすごかった!

 

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ものすごい人出!

 

それもそのはず。

このミュシャ展は国立新美術館開館10周年を記念し、さらにチェコも日本との国交回復60周年を記念した文化年とのこと。もう、日本とチェコの「芸術文化」に関する肝いり展示といっても過言ではないのだ。

 

しかも超巨大作品「スラヴ叙事詩」全20作が、チェコ国外初のそろい踏みというのだから行くしかない。

 

ミュシャ展は2階の一番奥、2Eで開催されている。

(お手洗いが近く、ここのコインロッカーはそれほど混んでいない穴場だよ)

 

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エントランスに入ると向かって右手で音声ガイド(520円)の貸し出しをやっている。

わたしは「バックグランドが分かった方がおもしろい!」派なので迷わず借りたよ。

檀れいさんの声はとても落ち着いていて聞きやすかった。

 

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愛国心とこだわりいっぱいスラヴ叙事詩のムハ

いよいよ展示室へ……と中に入ると……。

 

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ひ、ひろい。

その広さにまず圧倒されつつ、え? あれ? え? 壁画?

 

大作だとは言っていたけれど……

 

展示室の中央まで慎重に歩み寄る。

なるべく、左後ろを見ないように。

ただならぬ、気配感じながら、ここかな、という場所になって、振り返ってみた。

 

 

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(……圧倒!)

 

 

これは、今回のミュシャ展のキービジュアルのひとつにもなっている、「スラヴ叙事詩」の1作目「原故郷のスラヴ民族」というもの。

大きさは高さ6メートル、横は8メートルで1912年に描かれた作品だ。

ツヤがあり退色が少ない卵の絵の具「テンペラ」と油絵で絵が描かれている。

 

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「スラヴ叙事詩」とは、チェコを中心としたもともと穏和な農耕民族だったスラブ民族が、さまざまな歴史の波に飲まれアイデンティティを失いかけたなかで、民族の歴史を振り返りその誇り高さを再認識し、国に貢献しようとしたムハの意欲作だ。

下方に歴史的風刺画を描き、上方にムハ独自の解釈を踏まえた神話を重ね合わせた構図が多い20連作。

 

これは侵略者に村を焼かれ、恐怖におびえているスラブ民族の“アダムとイブ”に、上方に浮かぶは両手を広げて戦争の終焉を神に祈る祭司に、若い戦士と平和を象徴する少女が描かれている。

 

大きい作品だからと言って大味ではない。

 

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見事に「恐怖」が描かれている。

満点の星空は見事のひと言だ。

 

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ミュシャ展の共同監修者である美術評論家のヴラスタ・チハーコヴァー先生によるギャラリートークもあった。

報道陣の多さから、この展示の注目度がうかがえる。

 

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チハーコヴァー先生からは「スラヴ叙事詩」や、ムハの生い立ちについて簡単な説明があった。

 

ムハといえばアール・ヌーボーを代表する芸術家といわれている。

27才でチェコからパリに渡り、商業画家として活動し、34才のとき女優サラ・ベルナール主演の舞台「ジスモンダ」のポスターを書いて一晩に有名になった。その後、パリ万博のポスターを手がけるなど活躍したのだけれど、そのとき取材で訪れたスラブ民族暮らしぶりに感銘を受け、自分のアイデンティティと「単なるグラフィックデザイナー」(商業画家)から脱しようと、50才のときチェコに戻り、「スラヴ叙事詩」を手がけ始めたそうだ。

ただ、まじめな気質ゆえ、1つの絵にも取材を丹念に行い歴史的背景を織り交ぜて作成したため費用は膨らみ、アメリカでパトロンを見つけて資金を得たもののアメリカでの展示は思ったほどの成果は振るわずチェコに戻った。

生活のために肖像画やポスターの仕事をこなしつつ、チェコ国内でも実力と名声を高め、ひいては市民会館の内装を手がけ、パリの「ミュシャ」からチェコに「ムハ」になったと言われている。

一方、肝心の「スラヴ叙情詩」はプラハ市に「専用の美術館を建てる代わりに譲渡する」と約束したもののまだ完成しておらず、丹念な取材と手を抜かない作成で16年の月日を費やし、完成。

しかしその頃には時代が流れ、第一次世界対戦が終了し民主化によってムハの表現する民族像は「古い」ものになってしまっていた。

さらに国家経済的問題でプラハ市も専用の美術館の建設が難航。

ムハの死後、彼の故郷モラフスキー・クルムロフ城(世界遺産!)にて夏期にひっそりと展示されていたものの、全展展示が叶わぬままだのだ。

 

それから20年後の2012年5月、やっとプラハ国立美術館ヴェレトゥルジュニー宮殿で全作品公開。

そしてパリで活躍したミュシャがムハとなってスラヴ叙事詩を描くまでの約100点を展示したのが今回の「ミュシャ展」なんだって。

 

館内の一部は撮影可能で、記念撮影してみるのもいいけれど、じっくり見るならやはり最後の売店に載っている図案が綺麗で見やすいよ。(当たり前だけどね)

 

スラヴ叙事詩のコヤナギ的チェックポイント「ムハ家」

さ〜っと作品を眺めていてももちろん楽しいのだけれど、どうしてもなんでもかんでも斜めから見てしまうコヤナギユウによる、ミュシャ展のチェックポイントをご紹介。

 

ムハの盛ってるセルフィ

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こちら、スラヴ叙事詩の15作目「イヴァンチツェの兄弟団学校」の左下にいるふたり。

目の見えないおじいさんに聖書を音読してあげているという好青年なのですが……なんとムハ自身といわれている。

 

この絵の中でカメラ目線なの、彼だけなんだけど、50過ぎてティーンの頃の自分を好青年として描けるムハのナルシストっぷり……というよりもう一周して純粋さを感じるよね。

 

自分のセルフィどころか

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こちら、未完と言われている18作目「スラヴ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い」という絵。

 

「オムラジナ会」とは、20世紀初頭に弾圧された愛国心に燃える若者の団体で、この絵は彼らが働きが少なからずチェコの国歌復興に貢献したのではないかと言うことで描かれたといわれているんだって。

ただ、それに対する批判も感じていたため作品を仕上げなかったのではとのこと。

その中で、くっきり描かれている人物もいくつかある。

中央の女神は主題だろうから分かるとして、手前の2人は?

実は、この2人のモデルはムハの娘と息子!

どうしてここで身内出してきたのっ、ねぇ!?

 

 

ビデオ展示室

スラブ叙事詩が展示してある2つめの部屋の奥に、小さな入り口がある。壁の色も白く変わり、さんさんと太陽が差し込む小部屋には椅子がズラリ。

テレビが置いてあってそこから13分のビデオが流れているんだけど、ぜひ見て!

ムハの生涯がとても分かりやすく紹介されているし、この会場内に貴重な椅子がここにはある。名画を見るっているのはとてもエネルギーが必要だから、後半のアール・ヌーボーなミュシャ観閲前に一休みしよう。

 

 

出世作から代表作まで展示のアール・ヌーボーなミュシャ

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作品サイズの関係でパリで描かれたリトグラフを中心とする作品展示エリアは少ないが、その点数、作品自体はけっしておまけ程度ではない。

むしろ、前出した「ジスモンダ」のポスターも、パリ万博のポスターも展示してある。

さらに、彼の器用さを象徴するような、チェココルナ紙幣から切手、内装、モルダウ川で催行予定だった出し物のラフまで展示してある。

 

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80年代の日本人を含む芸術家に多大な影響を与え、初めて見ても「なつかしい」、けれど古さを感じないミュシャのグラフィックが並んでいた。(なんとブックデザインまでやっていた)

 

職業に専門的細分化が進んでいなかった頃、芸術家にはいろいろな依頼が来ただろう。

それを上手にこなしてしまったがために、ムハはひとつのコンプレックスを抱いてしまったような気がする。

 

現在グラフィックデザインで身を立てているわたしとしては、とても他人事ではない気がするんだ。

 

 

 

コヤナギのチェコ記が止まってるけれど、Linkトラベラーズでは記事の配信が開始!

全編公開されちゃう前に、コヤナギも最終日まで頑張って書き上げるから、そっちも読んでね!

ニュージーランド記もそのあと書くよ! テポカの写真、見つかったの! その後しつこくニューヨーク記も終わらせるぞっ)

 

 

 

あっ! そうそう。

またムハの話に戻るけど、「ミュシャ展」気になってるけど来られない人に朗報。

2017年3月16日(木)にミュシャ展の関連番組があるみたいだよ。きっとそこに作品やムハについてくわしく放送されるはず。コヤナギも見てみようっと。

華麗なるミュシャ 祖国への旅路〜パリ・プラハ二都物語〜
NHK総合テレビ 3月16日(木)22:25〜23:15

 

 

国立新美術館開館10周年・チェコ文化年事業
ミュシャ展

2017年3月8日(水)ー 6月5日(月)

国立新美術館 企画展示室2E

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